パリに春が来た。
一晩眠って、今朝家を出ると、すっかり春だった。
ハナミズキに似た名前も知らない街路樹の白い花が、一斉に満開になっている。
朝な夕なに通る道が、一晩で花道に変身するのは素敵だ。
それが通勤路だったら、
「いってらっしゃーい いってらっしゃーい」と、華やかに見送ってもらっているような気がするし、
帰り道だったら「お帰りなさーい お帰りなさーい」、新しく通る道であれば「ようこそー ようこそー」と、ただそこを通るだけで、歓迎されているような気がする。
舞台装置が一変したような街を歩くのは素敵だ。
公園を横切ると、
梅の木、梨の木、りんごの木。
ソメイヨシノではない桜の木。
外側がピンクで、内側が白いマグノリア(木蓮)の花は、開封された手紙みたいだ。
遠方からは、深緑に真紅のドット模様に見えるカメリア(椿)。花も蕾もたくさん付けて、贅沢。
春だ 春だ!と、わーわー言いながら、急いで飛び出してきたように咲く山吹。
先行する2月のレンギョウ、黄水仙に続いて、バトンを受け取った黄色組の代表選手だ。
椿を一枝だけ失敬して帰り、テーブルに飾る。
ついでに、この春は、デュマの「椿姫」でも読んでみようかな。
読みたい本のリストは、どんどん長くなる。