Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Salut les filles

夫が出張の夜、女の子仲良し3人組の集会を開いた。

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そう、女の子。

 

いつだったかパリで昼間のガラガラに空いたバスに乗っていたら、ステッキ片手に背中の曲がった銀髪のマダムが乗り込んできた。歳のせいで乗り口のステップひとつ登るのもそう易々とはいかない。周りの人の手を借りてようやくそれを乗り越えると、運転手にボンジュールと挨拶し、車内にコピンヌ(女友達)が2人乗っているのを認めると、ステッキを振り上げ、すきっ歯を見せていかにも嬉しそうに叫んだ。

「サリュー、レフィーユ!」

いわゆる、Hi girls ! だ。若い頃はきっとフュムーズ (fumeuse スモーカー)だったのだろう。独特のしゃがれ声だ。

 

一般的にはこういうシーンでの挨拶は「ボンジュール メダーム」 (Bonjour Mesdames) が礼儀正しく無難だけれど、私はこのマダムのパンクなサリューレフィーユがすこぶる気に入った。

3人のお婆ちゃんガールズは、車内でひとしきりお喋りに花を咲かせ、老人ホーム前で揃ってぞろりぞろりと降りていった。

 

3人という数は、10代の頃はあまり得意ではなかった。それが女の子同士の場合はなおさら微妙だった。

それが今では気が付くと、いくつもの「仲良し3人組」の公式メンバーとなるに至っている。そしてこれが、どうしてなかなか居心地良いのだ。時の洗礼を受けて角が取れた証拠だろうか。大人の特権の一つだろうか。

 

今宵の私のコピンヌ達は、近所で3人で顔を合わせるだけだというのに、それぞれ気の利いた手土産を下げ、一端の夜のお出掛け然りしっかりメイクアップ という気合の入れようである。久々の女の子の集いをちゃんと楽しもうという意気込みが感じられて嬉しい。3歩離れた我が家に来るために、オシャレしてくれた心遣いが嬉しい。

 

最近気が付いた事がある。当たり前の事だけれど、はっきりとは意識していなかった事。外見は他人のためにあるのだ。特に顔は、その人の広告塔に他ならない。鏡にでも映さない限り、自分の顔なんて本人には見えはしないのだから。