Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

28 jours avec Papa ?

世の中に心配な事はたくさんあれど、それでもきっと人間社会はいい方向に向かっているのだと思う。

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昨晩、食器を洗いながらラジオを聞いていたら、フランスの congé paternité (コンジェ・パテルニテ / 父親の産休) が28日間に伸びるというニュースが耳に入った。現状では、赤ちゃんが生まれた家庭では、父親は最長14日まで育児休暇を取ることが出来る。少なくとも表向きには。実際には、きっと取る人も取らない人 (あるいは取れない人) もいるのだろう。

我が夫の場合はどうだったかしら?あまり記憶に残っていない。そういえば息子の誕生後、少し遅れて1週間、それからまたしばらく経って残りの1週間、彼は会社を休んだような気もする。後者はノエルの南仏帰省のタイミングに合わせて。

記憶に薄い理由はきっと、産後殆どの時間をおべべちゃん ( bébé ) とべったり2人っきりで過ごした記憶のほうが、圧倒的に印象深いからだ。その母子の濃密な時間は、出産後実に数年間にも及んで、そのまま現在にまで至っている。それに比べると、14日間だなんてほんの一瞬だ。

そんな親子関係の出来上がった我が家では、パパはときどき所在なさ気にしている感もある。ママンから見ると、同じように家に居る日でも、パパの方は自由時間が多くていいなと羨ましく思う事もある。パパのほうは、ママンは息子によく懐かれていていいなと思っているのかも知れない。

 

昨晩のニュースによると、パパ達の28日の育児休暇のうち7日間はオブリガトワー (obligatoire / 義務) になると言う。時のマクロン大統領には子供がいない。その政治体制は何かと批判を受けることの方が多いようだけれど、とりあえずこの新たな決定に私は拍手を送りたい。新しい明日への大切な一歩だという気がする。

 

ママンになってみて分かった事だけれど、赤ちゃんへの対処、与えるべき食べ物、そんなこんなを、人間の「本能」と呼ぶべきものはびっくりするほど教えてくれない。それくらい、私たちは動物という状態から切り離れて、人間という別物になってしまっているのだろう。だから、自分が産んだ赤ちゃんのことも、外側から「学ぶ」必要があった。本能で足りない場合は知識で補う必要がある訳だ。逆に言うと、子供の育て方は雌としての本能が教えてくれる訳ではないとなると、女性に限らず男性でもしっかり「学べる」という事でもある。私の義理の兄のように、仕事よりも本当はもっと子育てに専念したいと願う男性だって、きっといる筈だ。

 

息子の学校では、新学期につけて今年度の各教科のカリキュラムが発表された。個人的に、自然科学 (理科) のテーマの一つに強く興味を引かれた。

L'homme est le maître de la nature ? 

「人間は自然の支配者か否か。」

至極フランスらしいテーマだ。

自然と対峙する感覚がフランス人と異なる日本人としては、支配者という形容はあまりにも違和感があるけれど、だからと言って自然の一部だと言ってはおこがましい気がする。

 

人の世は、これから先も色々と模索しながらきっとまだまだ変わっていくのだろう。迷える人間というのは、愛おしい生き物だ。