Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Le Jour

タガが外れた日のこと

 

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明るく気持ちの良い昼間、家で1人で過ごしていた。

ふと、客間でバサリと大きな音がしたので行ってみると、立てかけてあった本が床に落ちていた。拾おうとしていると、今度は何やら台所で派手な音がする。鍋の蓋が落ちてコマのようにワランワランワランと回っているのだ。山積みの水切りカゴに微妙な具合に載せていたのが、バランスを崩して落ちたようだ。それにしても長い間回り続けている。何が起こっているのか音だけで充分察しが付いのだけれど、なかなか止まらないので奇妙に思い、一応台所に見に行った。果たしてその蓋は満足するまでずっと回り続け、私が眺める目の前でようやく落ち着いて止まった。窓ひとつ開いていないというのに、風ひとつ吹いていないというのに、次から次へと不思議なタイミングだ。部屋の空気の様子を観察してみる。空気は至って澄んでいる。いたずらな裏心はどこにもなさそうだ。

 

タガが外れるという言葉がある。鱗が落ちるという表現もある。柿落としというのもある。何かが落っこちるというのは、新しい状態に移行する大事なタイミングだったりするのだ。そんな気がした。子供だったら、昨日までできなかった事がある日呆気なくできるようになる とか。何もせずにいても、自然に。しかるべき時が訪れたお陰で。

 

昨日と同じような今日なのに、ある日明らかに秋が訪れて、夏がすでに過去のものになったのを感じるように、何かが違う日、何かが変わる日というのがある。節目の日。それがどんな意味を持つのか、逃したくなければ、大きく耳を済ませ、静かに目と心を開いて、サインを取り込もう。そうすればきっと読み取ることができる。そんな風に思っている。

そんな1日がつい最近あったので、ここに記しておこう。