図書館に息子の本を返しに行って、偶然、モーリス・センダックの画集を見かけた。
彼の絵本は、こどもの頃大好きだった。
息子が小さかった頃にも時々読んでやったものだ。
家の中の夜の冒険に誘う「真夜中の台所」とか、クルクルクッキーが食べたくなってしまう「きみなんかだいきらいさ」とか。
画集の表紙の、醜くて、奇妙で、怖い顔をしているクセに情けなくて可愛くて、どこか憎めない怪獣たちの表情に頬が緩む。分厚くて重たいので迷ったけれど、自分のために借りて帰った。
こどもの頃から食いしん坊だった私。寒い冬に熱々を啜る「チキンスープ、ライス入り」のお話も忘れ難い。そう思ってふと見ると、彼の名前 Maurice Sendak には rice が入っているではないか。モーリスセンダック、ライス入りだ!と思うと可笑しくなった。因みにそこからもう一文字取ると、ice 。熱くて冷たい奇妙キテレツ センダック・アイスクリームはいかが?
モーリスはライス rice を愛す ice 。チキンスープライス入りの産みの親だもの。当然!
そう、我らが「愛す、センダック」なのだ。
やっぱり私が小さかった頃、やっぱり実家の近くにあった古くて立派な薄暗い図書館で、「サラーのお部屋」という絵本を借りた。今はもう廃盤になってしまっているようだけれど、あれも確かセンダックの本だった。その本のサラーの部屋の壁紙には、蔦の絡まる森の絵があって、幼心にも不思議に心惹かれた。サラーの部屋には、お人形と、二階建の人形の家があった。肝心の話の内容のほうはよく覚えていない。
いつか、あの本をまたどこかで手に取ってみたいなと夢見ている。昔行ったことのある場所に、大人になってからまた訪れるように。サラーの部屋の森は、今でも昔のようにひっそりと茂っているのだろうか。
親愛なるモーリス・センダック。
どんな人だったのかしら。