ある日ハタと思い付き、その日から集めてはせっせと干している。
息子の朝ごはんのクレモンティーヌ (clémentine 蜜柑)やオレンジの皮。ドレッシングに使ったシトロンの皮。おやつに出したポム (pomme 林檎)、ポワール (poire 梨)の皮。バルコニーにワサワサとたくましく繁るローマラン(romarin ローズマリー)の枝。虫喰い穴あきバジリック (basilic バジル) にソージュ (sauge セージ)の葉っぱ 。散歩して摘んだスイカズラの花。台所の片隅に、私の香りのコレクション。
これ、どうするの?と息子。
あなたのお風呂に入れたり、ママのお茶に入れたり、お料理に使ったり、ポプリにしたり、お香がわりに焚いてみたり、色々と使えるのよ と教えてあげた。
今朝の紅茶にオレンジの皮をたっぷり入れてみた。寒い日のオレンジは小さな太陽。ああ、いい香り。ついでにスパイスの引き出しをごそごそ漁り、いつか友人ナオコさんに貰った南国のクローブパウダー、去年焼きリンゴを作った時に使ったシナモンスティック、贅沢に甘いバニラ、仕上げにジンジャーを少々入れてみる。調合作業は魔法使いの気分で。いつもの紅茶が豊かに香る。熱いオレンジスパイスティーを啜ると、眠い目もすっかり覚めた。
パリは星の朝の季節になり、7時を過ぎてもまだ暗い。そんな日は香りのおめざが一番だ。