Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

L’ère de casanières

本当ならば、来る土曜の夜はピアノ演奏付きお食事会に招かれていた。

 

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ところが今週末からパリは夜間外出禁止令 (couvre-feu) が出たので、お食事会は延期になってしまった。招き主は友人ピエールとアデル夫妻。引っ越したばかりの彼らの新しいアパルトマンで、夕食を共にしながらアデルのピアノレッスンの成果をお披露目しうよう という可愛らしい提案だった。

アデルから SMS が届く。Chers amis, (シェール アミ / 親愛なる方々へ) で始まるそのメッセージは、「誠に残念ながら、この度の音楽会は延期になりました。再演日の目処が付き次第、またお知らせいたします」と、わざとかしこまって括ってあった。彼女らしさにクスリ。

 

そうは言っても、私達の生活は普段となんら変わり無い。息子は学校に、夫は仕事場に相変わらず毎日出かけて行くし、メトロに乗っても買い物に出かけても、人の数は以前とほとんど変わりない。外出禁止と言っても夜21時以降なので、息子の誕生以来めっきり夜歩きの回数が減った私には殆ど影響がない。

どちらにしてもパリの気温はぐっと低くなり、お日様は朝は8時過ぎまで寝坊、夜は19時を待たずして寝床に付いてしまうので、夜間の外出禁止はちょっとした冬籠りだと思えばよい。

 

夜歩きしなくなったついでに、レストランにもあまり行かない。外食といえば、ときどき友人宅でおもてなしを受けるくらいだ。ロックダウン以来、さらに輪をかけて外に食事に出なくなってしまった。外でシェフが出すお料理というのはわくわくするけれど、どうもこのムードでは気持ちが積極的に外へ向かない。レストラン業界で働く人達は大変だろうなと思う。

夫は先週末に旧友と食事に出掛けた。いつもなら夜明けまで心ゆくまで飲んで帰ってくるのに、先日は0時前に大人しく帰宅して、ソファーを独り占めして寝転んで本を読んでいた私は思わず「デジャ?」(Déjà ? もう?) のセリフが口を付いてしまった。長居したくても閉店時間が早いのだ。どこ行くにもマスク着用は義務。レストランの席に着くと外せるけれど、その代わり新しい規律で、リストに名前と連絡先を書くことなっている。感染者が同じレストランに同席していたことが発覚した場合、連絡を付けるためだ。なんだか随分と大袈裟な気もする。

 

どちらにせよ、こんな季節はおうちが一番。

温かい飲み物を淹れ、好きな本を一冊選んで、暖かい場所に腰を落ち着けることさえできれば、それでもう充分幸せ者と呼べるのだろう。

外出好き外交好きで顔の広い友人達のため息が聞こえる。内向的な人の天下の時代だ。