Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Semaine estivale

今週のパリは春を通り越してすっかり初夏だ。

 

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この街の人たちは気温が20度も超えると口々に夏だと言ってじっとして居られず、肌をむき出しにしてサングラスを引っ掛け外に飛び出す。じっとして居られずに飛び出した割には、リュクサンブール公園に散らばっている椅子などに陣取って、今度は花壇の脇や噴水の前でじっと動かなくなる。長いことずっと動かない。何もしていないように見えるけれど、さにあらず。お日様を浴びるアクティビティーに忙しいのだ。

気温計が25度まで上がった今日は、彼らにとって初夏どころか夏だ。ところが来週はまたもや春を通り越して冬に舞い戻るらしい。予報を見ると最低気温は2度と出ている。2回も順番を飛び越され、思い通りに出番の回って来ないプリマヴェーラは機嫌を損ねてしまわないだろうか。先週末に足を運んだ庭園の八重桜のまだ固い蕾は、咲くべきか待つべきかきっと戸惑っているに違いない。

 

考えてみたら、パリに住み始めてから洋服ダンスの衣替えというものをしなくなった。寒暖の差が激しく、同じ一日の中でも季節が変わる。朝は冬、午前中が春、昼下がりは夏というような日も珍しくない。

そんな具合なので、一辺に4つの季節を身に纏っているようなファッションの人も時々見かける。コートをしっかり羽織った女性の足元がサンダルだったり、逆に下は暖かそうなブーツを履いて上は下着と区別のつかない格好だったり、毛糸の帽子を被っておきながら短パンから素足を覗かせていたり。季節感というのはほとんど問題にならない。春の声を聞けば、多少寒くても痩せ我慢してブーツを手放すような日本の粋とは感覚が違う。フランス人はあくまで実用主義なのだ。

逆に私は、今がどの季節だったか忘れてしまうような装いの人を街やメトロなどで見付けて観察するのが好きだ。全天候型ならぬオールシーズン型ファッションというのは、なかなかに刺激的で個性的。目に面白いものである。

そして、かく言う私もだんだん季節を気にしないコーディネートに傾倒している昨今。去年は一度も帰らなかったから、私の中の日本が不足気味なのかもしれない。