Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Le temps de fraises

初物の苺を持って近くに住む友達に会いに行った。

 

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久々に電話があって、ちょっと悩んでいることがあると言う。外は花吹雪のような雪が降っていた。4月だというのに不思議な天気だ。

 

春先の雪の日に赤いイチゴは絵になるような気がする。「ちょっとした悩み」にはこういう甘酸っぱさが効くかも知れない。坂の下のブーランジェリーでシュガー・クレープも数枚買って持って行く。しっとりと四つ折りにされている。美味しいものは気分を上げてくれるだろう。

 

友人は温かいお茶を淹れて迎えてくれた。イースターのショコラを添えて。

久々に顔を見てお互いに嬉々とする。ディスタンスを取って座り、近況を伝え合い、苺とショコラを摘みながらしばらくぶりに面と向かって話した。相変わらずのパンデミック下だけれど、そんな状況での人付き合いの方法もだいぶ要領を得てきた。極めて緩いロックダウン状態にある現在のパリ。感覚の合う人と、お互いに自己防衛しながら付き合えば良いのだ。

 

ほんの束の間ではあっても、「実際に」人と会うこと、会話や美味しいものを分かち合うことはとても大切だなとつくづく感じた。相談に乗るために会いに行ったはずなのに、彼女の家を出る頃には私までリフレッシュされているのに気が付いた。悩みについて話しながらも、2人集まると冗談が入ったり笑い話に転じたり。例え解決策が見つからなくても、気持ちが少し軽くなる。友達とはそういうものだ。

 

帰り道、最近あまり元気のない東京の父のことを思った。

やもめ暮らしにすっかり退屈している。それも当然のこと。普段は社交的で愉快な仲間に恵まれている父が、パンデミックの影響で思うように人に会えない。人生の楽しみの大部分を奪われてしまっているようなものだ。どうしたらいいだろう。東京とパリでは、苺を持ってすぐ会いに行く訳にもいかない。気が塞がってしまわないといいけれど。。。

 

5月まで学校が閉鎖になったので、春休みを目前にした今週1週間息子はオンライン授業を受ける。学校が指定したアプリケーションをダウンロードし、時間割と宿題をチェック。私のパソコンはすっかり息子の私物化している。そして私は、春休みに入るまでしばらく息子専属秘書だ。

体育の遠隔授業というのがなかなか見もので、膝が痛いと言っては床にヨガマットをひき、パソコンを前に寝そべって不器用にジタバタしている。台所から見ると、居間のテーブルの向こうで溺れている人がいるみたい。片手が見えたかと思ったら沈んで、今度は片足が出るといった具合。映像が見えないの、音が聞こえないの、ムッシュー!ムッシュー!と生徒達はスクリーン越しに賑やかで、すっかり興奮気味だ。果たしてこれを授業と呼べるかどうかは別として、楽しそうで良い。

 

相変わらず10km以上の移動は制限されている。学校に行かない学校が終わったら、来週から2週間、どこにも行かない春休みに入る。