Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

La météo menteuse

海に行きたいと息子が言う。

 

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去年の今頃に連れて行ったノルマンディーの砂浜の海が気に入ったようで、また同じところに連れて行って欲しいと。確かにあの小旅行はなかなか素敵だった。ゴールデンウィークなんていう呼び方こそしないものの、5月はフランスも祝日が多い。来週は木曜の昇天祭から4連休なのだ。

 

10km以上の移動が今月に入ってようやく許可されたばかりなので、きっと連休の海辺は都心から逃げ出す人達で混雑するだろうと思ったら案の定で、検索すると見事にどの宿も既に満室だ。一軒だけ、去年目を付けていた理想のホテルの空室をほとんど奇跡的なタイミングで見付けたので、行ける行けないはともかく取り敢えず押さえておくことにした。3日以内にリコンファーム、あるいはキャンセルすれば良い。

 

夫は海に行くのは気が乗らない様子。カフェやレストランは閉まっているから、それも分からないでもない。去年のようにまた母子2人で電車で行くのもいいかな、食事だって砂浜でピクニックすればいい と思っていたら、友人サミアが便乗してくれると言い出した。いいぞいいぞ。便乗どころか、車まで出してくれると言う。なんとラッキーな!この3人の顔ぶれで出かけるのも、なかなか面白そうではないか。

 

ところが、météo (天気予報) を見ると連休中は一日も欠かさず見事な雨模様。これはさすがに戴けない。ノルマンディーは夏に持ち越しにしようと息子に話すと、諦めきれない彼は「でもねママ、メテオは時々ウソをつくんだよ」。これには笑ってしまった。

 

日本語とフランス語といった全然違う言語のバイリンガルの場合、片方の言葉がもう一つの言葉を探す助けにならない。それで時々息子は歯痒そうにしている。

私の知る限り、フランス語ではメテオは時々予想を「間違える」けれど、日本語では天気予報は「ハズレる」。でもそんな日本語の使い方をは息子は知らない。「天気予報は間違える」とフランス語の表現をそのまま日本語訳する代わりに、咄嗟に「ウソをつく」と言ったあたり、うまい言葉を探したものだとニヤリとした。本人は自覚していないようだけれど。

外国人の使う日本語は面白い。時々詩的でさえある。私の話すフランス語も、フランス人の耳には時としてそんな風に面白く聞こえるのかも知れない。

 

果たして天気予報が「嘘つき」だったら、海に行こうと思う。息子のみならず、サミアもすっかり乗り気だ。でも残念ながらメテオが正直者だったら、来たる連休は大人しくパリで過ごすとしよう。