Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

La la la Poste

パリは爽やかに晴れて、ピクニック日和。

 

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暑過ぎず涼し過ぎず、ちょうど良い気候。こんなに気持ちの良い土曜日なのに、芝生の眩しい公園に人影はまばら。パリの人達はあらかたヴァカンスに出てしまったのだ。

 

午前中、日本の父に送る小包があったので、ラ・ポストに寄る。ロックダウン中は、いつもにも増して絶望的に長い順番待ちの行列ができていた郵便局。常々、一体ここは先進国なんだろうか?と思わされる場所なので、私は普段なるべく利用を避けるようにしている。

 

国際小包も今後はマシーンで手続き願います とのことなので、なんとなく悪い予感がしながらも試す。送り主、宛名、住所の記載など、紙に書けばものの3分で足りる作業が、極めて反応の悪い画面に入力するせいでやたらに時間がかかる。

タップしても鈍いアルファベットが一つとなくある。何度も再入力が必要になって憤る。補足したいこと、聞きたいことがあっても、相手が機械なので融通が効かない。一連の作業を終えるのに、悠に15分はかかってしまった。私の左右でやっぱりマシーンと睨めっこしている人達を見ても、舌を鳴らしたり悪態をついたり。

 

ようやく、入力した送り状がプリントアウトされて出てきたと思ったら、プリンターの不具合で端の印字が消えている。気が付かずに貼って送っていたら、宛先住所不明で小包は返送されたに違いない。まったく!

ボールペンで抜け落ちた箇所を書き足すけれど、信用ならないので、窓口の青年に頼んでセロテープを上に貼って消えないようにしてもらう。なにせラ・ポストだ。念には念を押すくらいが丁度いい。用心深くもなるものだ。

はるばる日本まで送ったのに、舞い戻ってきてしまっては困るのだと説明すると、郵便局員の青年は「ジャポン」の言葉に僅かに反応したように見えた。「ごもっとも!」と頷く。ちょうど東京でオリンピックが開催されているからだろうか。いや、もしかしたらこの人も、最近の若い人達のご多分に漏れず、ジャポン好きなのかも知れない という気がした。

 

ついでに、夏休みにポストカードを出すのに使う切手も買っておこうと思い、「切手のカルネもワンシート下さい」と言うと、「どれにしますか?プチ・プランス?」と訊く。10パターンくらい飾ってある見本の中から、よくぞ私がプチ・プランスの柄を選ぶと当てたものだ。ちょうどプチ・プランスくらいの年齢の息子を連れていたからかな?

「当たり!プチ・プランス!」と答えて、お互いに笑顔になった。

こういう対応や会話は機械にはできまい。融通の効かないマシーンにイライラさせられたけれど、窓口の好青年はサンパティックでニッコリになった。

「人工知能に仕事を奪われた人間は、今後どのように生きるか?」というテーマが、パンデミックが巻き起こる直前、フランスで大きな話題を呼んでいたのを思い出した。

 

ラ・ポストを出たところで、チーンと着信音が鳴ってSMSが届いた。夫からだ。何か買ってきて欲しいと言うのかと思ったら、「柔道の団体でフランスが金メダル取ったぞ!!」と、大喜び。普段は簡素な業務連絡のみに徹する彼。こういった感情露わなメッセージを送るのは珍しい。十代の頃、習い事で多少柔道を齧った人だ。フランス柔道界の期待の星、テディー・リナーが惜しくも個人戦で銅メダルに終わったばかり。団体戦でのヴィクトワールに、夫はテレビの前で雄叫びをあげ、重量級の体をぴょんぴょんさせて床を轟かせていたに違いなかった。

 

それにしても、今季の日本のメダル獲得数には目を見張るものがある。

この夏、日本に行ってみたいと言うフランスの仲間達を引き連れて賑やかに帰省する予定だったのに、それができなかったどころか、テレビに映るJOの観客席さえ散関としている。まるでヴァカンス季のパリの公園みたいだ。

 

明日から8月。

今年もまた南仏に発つ。これから荷造りだ。