Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Voyage olfactif avec les enfants

子供たちの秋休みも終盤。

 

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友人ソニアと、子供たちを連れて昼下がりのパリをそぞろ歩く。

 

オペラ座に近い19世紀のパッサージュを潜り、その中に並ぶショーウィンドウを眺め、それから、今回のお目当ての一つであるスパイスの店に入る。

大航海時代の香辛料への情熱を彷彿とさせるその店で、あれこれ嗅いでみる。数あるミックススパイスの中でも、「ヴァスコの粉」 (Poudre de Vasco) と「妖精の粉」 (Poudre de fée) というのが子供たちの気に入ったようだ。

単一スパイスの棚では、瓶のラベルを隠してブラインドテストをし合う。少し前から流行りのトンカの実や、珍しい紫ナツメグなどの匂いを初めて嗅いだ。

 

お次は、修道院で作られた品物を扱う店を覗く。

素朴なお菓子やジャム、昔ながらのハーブ入りトニックローション、黄色い蜜蝋のロウソク、瓶入りの保存食やお酒などが売られている。どれも、丁寧に作られたもの特有のムードが漂っている。

レジの前にマーブル模様の美しい手作り石鹸が並んでいた。ここでも香りを聞き比べる。薄紫のラベンダー石鹸が清々しく好みだ。人里離れた山間の修道院で、ひっそりと心静かな生活を送る人たちの姿を思い浮かべた。

この店で、ふと目に付いた緑のリキュールの小瓶を買ってみた。100種類もの植物の香りがするのだとか。これをショコラ・ショに数滴垂らすと、個性的な香り付けになるそうだ。食後酒にもよい。

 

ついでに通りかかった小さな香水店にも入る。

香りはもちろん、ラベルに記された詩的な名前を見るだけでも、想像力をくすぐられて心躍る。ソニアはムスクとパーチュリーの香りが好きなのだそうだ。私はスズランやスミレやバラが好み。イチジクも好き。

見上げるほど背が高く、厚みのある体格で、濃い褐色の肌に青みがかったグレーの目をした店員の男性が、ムイエットに好みのパルファンを惜しみなく吹きかけてくれる。肌と目の色の組み合わせが魅惑的だ。一体どこの国に祖先を持つ人なのだろう?

そんな彼のお勧めを聞いてみたところ、Bois de Bélize (ベリゼの森) という小瓶を迷わず手に取った。うっすらとした柑橘のトップノートに、バラとマテ茶とスパイスの温かく上品な香りが続く。

香水を染み込ませたムイエットは、栞にするのちょうど良い。その香りに合う本を探して挟むのだ。

 

それからパレ・ロワイヤルの長方形の優雅な庭を横切って、かつての宮廷御用達ハーバリスト(香草店) のドアを押す。

広くはない店内の、天井まで届く棚一杯に、香草やハーブティーがずらりと整列している。魔法使いの贔屓の店は、きっとこんな店だろうと思う。香草に熱をあげる私たちは、ここでもひとしきりお喋りに花を咲かせる。衛生規定のため人数制限があるので、用のない子供たちは外で待つようにと店内を追い出されてしまった。

 

お終いに、リボリー通りを市庁舎の方向にしばらく歩き、新しく開いたIKEAを少し冷やかした。子供たちはここのカフェのシナモンロールに目がない。

ママン達が食器などを物色している間、彼らはおもちゃコーナーで幼かった頃に持っていた玩具を見付けては懐かしがり、ぬいぐるみでふざけ合い、トンカチを使って穴に杭を刺すおもちゃでルールを作って遊んだり。ソニアはと言えば、香り付きキャンドルをいくつか見繕って買い物カゴに放り込んでいた。

 

今日という日の香りの旅。

みんなよく歩いたね。