Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Ce n’était pas une blague

冗談などではなかった。

 

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本当に雪が降ったのだ。

ポワッソン・ダブリル (poisson d'avril / エイプリルフール) の日に。ほぼ一日中。

 

先週はせっかく気温が20度を越したというのに、今週は0度近い。これからどの季節に向かうところなのか、よく分からなくなってしまう。まあもっとも、そんなことはパリではよくある事なのだけれど。

桜の花が咲いている。アスファルトの上に散った花びらの水玉模様の上に、雪が落ちては溶ける。せっかく降っても積もらないのが残念だ。コートの下にセーターを着込み、首にマフラーをぐるぐる巻いても、まだ底冷えがする。

 

今日は4月1日で、珍しく雪が降って、ついでに雲の上は新月なのだとか。特別な日だ。

 

そんな特別な日に、ささやかな原稿を2つ書いて提出してみた。一つは文章教室用の短いエッセイ。もう一つは子供用の小さなお話。例えこれが何かに繋がる訳ではなくても、アクションを起こすのは、それだけできっと意味のあることだと思いたい。あるべきでない方向に押し流そうとする日常への一種のレジスタンスだ。

 

ここしばらく忙殺されていて、その調子がまだまだ続きそうな気配で、計画していた事の一つも進まず、ジレンマを通り越してヘトヘトなのだとこぼしたら、友人キャロリーヌに励まされた。「あなたみたいな多才な女の子 (fille) はね、何だって手に入れられる筈よ!本当よ!」SMS で送られたメッセージだ。咄嗟に「そんなことないわ」と謙遜したくなるけれど、ここは敢えてメルシーとだけ答えておいた。キャロリーヌの言葉通りであったらいいな と思いながら。せっかく励ましてもらったのだから、ありがたく受け取っておくことにしよう。

 

2日ほど前、よく買い物をする近所のオーガニックショップに新しく配属された店長さんと仲良くなった。ご両親が日本人で、本人は生まれも育ちもフランスのフランス国籍。見た目は生粋のアジア人。日本語もフランス語も、偏り無くパーフェクトに操る珍しいタイプで、20代前半の若い人だ。

そう、どんどん外に出て、新しい知り合いを増やしていこう!と思った。家に居てばかりではいけない。望むと望まざると、「主婦」なんて呼び方をされる肩身の狭い立場であるのに加えて、ロックダウンなんてものまで経験して、外界の人と関わらない生活が長く続き過ぎた。自分を確認するには、他人が必要であるというのに。

 

春はパリの街を迷って行ったり来たり。

4月になっても、まだここに居座る心づもりが付かないようだ。