Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Pomme d’au revoir

わたしは真っ赤な林檎です

お国は寒い北の国

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5月になっても「寒の戻り」と呼べるのだろうか。

パリはここのところ肌寒い日が続く。仕舞いかけたセーターを出して羽織る。

 

本格的に暖かい季節を迎える前に、息子と一緒に季節はずれの焼きリンゴを作った。

 

できるだけ真っ赤な林檎を手に入れたら、芯をくり抜き、レモン汁に浸しておいたレーズンを詰める。今日はレーズンを切らしていたので、プルーンを詰めた。ドライフルーツであれば、たいてい何でも代用できる。そこに、縦に砕いて杭のようにしたシナモンスティックを立てる。りんごの軸の要領で。あとはオーブンに放り込むだけ。

それでお終い。とっても簡単。

 

そうそう、キッチンの引き出しに眠っていたスターアニスがあったので、くり抜いた穴の底から詰めものが逃げてしまわぬよう、これで栓をしておいた。植木鉢の底の穴に、小石や葉っぱを一枚載せてから土を入れるような感じで。

 

焼けるのを待つ間、部屋中に漂うスパイスの効いた甘酸っぱい香りがたまらない。

息子は何でも読む人なので、私が流しで洗い物をしている横で、スターアニスの小瓶に書いてある説明文を音読してくれた。と、言うより、こういう時の彼はいつも「ママ、聞きたい?」と一応訊いておきながら、可笑しいことに、実はこちらには全く選択肢がない。答えがウイでもノンでも、例え相手が忙しくて聞く耳を持たなくとも、お構いなしに読み始める。

 

ところが、今日のその小瓶の説明文というのが、思いの外にポエティックだった。

 

Badine - Star Anis

Son nom chinois signifie huit points, parce que chaque étoile possède huit branches cachant chacune une trésor : les graines aux notes anisées, d'où son surnom d'anis étoilé. Cueillis encore verts, les fruits sont séchés au soleil pour obtenir cette belle couleur ambrée. 

 

バディンヌ - スターアニス

中国名は八角。八角系の星型のそれぞれの萼 (がく) に、アニスの香りの宝物をひと粒づつ宿しています。スターアニスと呼ばれる所以です。青いうちに摘み取られ、天日に干して琥珀色となります。

 

暖かい季節が訪れて、暑い季節に移り、また寒い季節がやってくるまで当分お別れなので、今日の林檎はサヨナラ林檎。