Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Entries from 2020-01-01 to 1 year

Vingt sur vingt

2020年最後の日に、この一年を振り返って 息子が、年末年始は「スペシャルごはん」が食べたいとのたまう。大晦日に甘い黒豆でも煮てみようかなと思ったのに、昨晩水に浸すのを忘れて寝てしまった。あらら。だんだん日本離れしてきているのかしらと一瞬思った…

À la fin d’année

今年も残すところあと2日。 年と年の境目の感覚が日本に比べると薄いフランスだけれど、今年は例外的に、この一年にしっかりサヨナラをして数字だけでも新たな年を迎えたい、という独特の年末ムードが漂っている。それくらい特別な年だった。 ヨーロッパの時…

L’hommage à Maître Yoda

火曜日。月曜に会ったお料理上手のソニアに教わった摩訶不思議なレシピを試した。 日本ではあまり馴染みのないヨーロッパ野菜 (?) にセロリの根っこというのがあって、私はこれをマルシェで見かける度にスターウォーズのヨーダを思い出してしまう。似ている…

Courage de s’en foutre

昨日と今日は人を招いた。 友達と会ってお喋りするのは久しぶりだ。昨日は同郷人の友ユキさんとお茶をして、今日はソニアが2人の子供連れで遊びに来てくれた。 外は毎日雨降り。冬至を過ぎてから気温も急に下がってキュッと寒い。暖かい家の中で窓辺のソファ…

Dame Normande

静かなノエル 家族でひっそり過ごしたイヴの翌日。 食べ過ぎた晩の次の日は、なんにもしないで過ごす。つい最近パリの街を歩いていて偶然耳にしたビル・エヴァンスのピアノとジム・ハールのギターという組み合わせのジャズがすっかり気に入り、これを一日中…

Infusion de la nuit

家族が寝静まった夜。 外は雨がいっぱい降っている。この様子では、きっと一晩中降り続くのだろう。 この頃は夜のお茶の時間が楽しい。1日の片付けを済ませた台所で、最後に行う儀式さながらローズマリーやタイムの枝をキッチン鋏でジョキジョキと刻む。キリ…

Ravel et mon fils

覚え書き 咳が出るので学校を休んだ息子。今朝はラヴェルを聴いている。以前、図書館で借りた子供用のお話しCDに入っていたボレロが気に入った彼。先日の誕生日に、大人の鑑賞にも耐え得るCDをプレゼントしてみた。いまだにオモチャの類を欲しがる幼い彼だけ…

Marmelade from Corse

吐く息の白い朝。 ああ、私はもう柑橘の果物なしには生きられない体になってしまったのだわ。 今朝もまた、コルシカ島の蜜柑の皮をオレンジの花のハチミツと一緒にマーマレードにしたものを紅茶にひと匙落とす。 空になかなか太陽が昇らない季節は、ティーカ…

La chance que nous avons

今日の覚え書き 日々の記録はしばらくお休みと決めたのに、結局は3日坊主。少しだけ少しだけ と自分に言い訳。 夫が職場を変え、パトロンヌ (上司) が女性になった。どう?指揮を取るのが男性か女性かで、何か違うと感じる事はある?と食事の席で訊くと、ま…

Oh beau sapin

マルシェで小さなモミの木手に入れた。 ノエルにはツリーに、お正月には門松にするのだ。 我が家はどんどんジャングルと化す。 ほくそ笑むメス、一匹。 ため息漏らすオス、二匹。 デモクラシーなんて言葉は知らない。 ママンの君主制王国へようこそ!

The scoop

日々の記録に時間を割くまいと決めたばかりだけれど、結局、書かずにいられない事もある。 昨晩、夫が家のドアの前で小さなネズミを見つけた。すでに息絶え絶えで殆ど動かなかったと言う。きっとアパルトマン中に仕掛けてあったネズミ退治用の毒入り団子(?)…

Aujourd’hui

久々に家で1人きりの時間ができた。 お昼を用意する必要もないので、時間のかかる家の仕事を一気に片付けることにする。居間の植木が育ってだいぶ大きくなったので、すべて鉢を替えてやる。クロトン、ベンジャミン、パキラ、バオバブ。それから、洗濯洗剤が…

L’éloge d’orange

オレンジ讃歌 冬が近付き、庭もベランダも日に日に緑が寂しくなってゆくこの季節、私はすっかりオレンジに夢中だ。 寒い季節の小さな太陽は、丸くて明るくて重量感があり、なにより目の覚めるような鮮やかな香りがいい。 パリの空がだんだん鈍い灰色を増して…

Une feuille morte

お昼時、息子を迎えに家を出る。 すたすた道を急いでいたら、黄い葉っぱが頭上からひらひら降ってきて、ちょうど掌の上に止まった。見上げると、背の高いプラタナスの並木にまだ半分くらい葉が残っている。黄色い花が花びらを散らすように、時々風に乗って舞…

Conversation au rayon de miel

買い物先で、棚に並んだ蜂蜜の瓶をあれこれ物色している長身の美しい人がいると思ったら、友人ソニアだった。 ちょうど会いたいと思っていたところなので嬉しい。以前の私達ならぎゅっと抱き合って両頬にビズを交わすところだけれど、フランス流の挨拶は現在…

My favorite things

すっかり食欲の秋。 この頃のお気に入りは、木の実とドライフルーツがぎっしり詰まったプチパン。行きつけのオーガニック食材品店のカウンターの上に、いつも小さなパニエ (かご) に入って売られている。小さくともずっしり重く、ごろりと無骨な石のような形…

L’élection américaine e.t.c.

遠いフランスの地よりアメリカ大統領選を見守る昨今だ。 患者数の再急増だ外出制限だ、ただえさえ暗雲の立ち込める今日であるのに、そこに追い討ちを掛けてテロ事件が絶えず、二重の警戒態勢でガチガチに肩の凝っているフランスだ。健康問題よりも、むしろ後…

A la fin de la journée automnale

1日の終わりの夜の居間にて、「今日も息子の宿題押し付け係」のつぶやき そもそも、「学ぶ」という行為を強いることなんてできるのだろうか? 不可能なのではないか? それは、お腹が空いていない人間に食べさせようとするのと全く同じ事のような気がする。 …

Dernière sortie avant l’hivernage

ふらりと出た午後の散歩で偶然行き当たったのは、バルザックの家。 息子の2週間の秋休みが幕を閉じようとしている。それと入れ替わりに、昨夜の大統領の演説で、フランスは再度ロックダウン体制に入ることが明らかになった。明日の金曜から、言うなれば今度…

Ses beaux yeux

顔が半分しか見えないとなると、人の印象も変わるものだ。 相手がよく知っている人であっても、その目の色や形や表情に改めて気付かされたりする。この人はこんな目をしていたんだっけ、と。 初対面の人であれば、あとの半分は想像するしかない。 残りの半分…

L’ère de casanières

本当ならば、来る土曜の夜はピアノ演奏付きお食事会に招かれていた。 ところが今週末からパリは夜間外出禁止令 (couvre-feu) が出たので、お食事会は延期になってしまった。招き主は友人ピエールとアデル夫妻。引っ越したばかりの彼らの新しいアパルトマンで…

L’odeur d’orange dans ma cuisine

ある日ハタと思い付き、その日から集めてはせっせと干している。 息子の朝ごはんのクレモンティーヌ (clémentine 蜜柑)やオレンジの皮。ドレッシングに使ったシトロンの皮。おやつに出したポム (pomme 林檎)、ポワール (poire 梨)の皮。バルコニーにワサワサ…

Cristallisation

結晶のはなし きっと誰にでも、あるふとした言葉がしばらく心に残る経験があると思う。 友人アデルに会ったのは9月の終わりだったけれど、彼女が口にしたある言葉が、ずっと心に引っ掛かって流れていかない。 「アイディアが浮かぶのと、それを形にするのと…

Maurice rice ice

図書館に息子の本を返しに行って、偶然、モーリス・センダックの画集を見かけた。 彼の絵本は、こどもの頃大好きだった。 息子が小さかった頃にも時々読んでやったものだ。 家の中の夜の冒険に誘う「真夜中の台所」とか、クルクルクッキーが食べたくなってし…

L’éloge de l’automne

友人マリーンに、郊外の森にみんなでシャテンヌ拾い (châtaine / 「栗」拾い) に行かないかと誘われた。 枯れ葉の上をそぞろ歩いてお喋りしようという訳だ。結局その日は忙しくて行けなかったけれど、秋らしくて素敵な提案だと思った。 ヴァカンスを過去形に…

Le temps

我が家の壁時計には秒針がない。 それなのに、今夜はトツトツと時を刻む音がする。 そう、毎日続くこの秋の長雨で、夏の間すっかり忘れていた天井の雨漏りが戻ってきたのだ。年季の入った古い建物の多いフランスではよくあること。規則正しく秒を刻むのは、…

Plein de questionnements et la positivité

週末の雨の午後、いつもの3人でカフェに集った。 パリのカフェやレストランは、週明けから再び閉鎖になるかも知れない。感染者の数が再びじわじわと昇りはじめているようだ。それにしては、幸か不幸か全体的に緊張感が薄いのだけれど。 夏休みが終わり、秋…

Pierres précieuses

絵描きのアデルは石を集めている。 貴石ではなく、草入り水晶や、水辺で拾うような石を。まるで物思いに耽っているような、朧げに模様が入っている石が好みのようだ。そこからインスピレーションを得て、墨絵のような詩的な絵を描く。 しとしと雨降りの日、…

A la nuit automnale

子供の頃からなかなか眠らないタイプだ。 入眠には全く時間を要さないのだけれど、夜の時間を何もせずに眠ってしまうのが惜しくてならない。だから、眠たい夜も無理やり起きている事が多い。 日がすっかり短くなり、夜が早く訪れるので、子供が寝静まって家…

Le Jour

タガが外れた日のこと 明るく気持ちの良い昼間、家で1人で過ごしていた。 ふと、客間でバサリと大きな音がしたので行ってみると、立てかけてあった本が床に落ちていた。拾おうとしていると、今度は何やら台所で派手な音がする。鍋の蓋が落ちてコマのようにワ…