Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Entries from 2019-12-01 to 1 month

Un bouquet de Druide

ギー (gui) のブーケ。 フランスで年末年始の店頭に出回るギー(ヤドリギ)は、日本でいうところの松のようなもの。 ヨーロッパにケルト文化が栄えていた時代には、不老不死のシンボルとされていたそうだ。高い木々の枝のそこここに、こんもり丸い鳥の巣のよう…

Bavard

相手が関心を示そうが示すまいが、長話をしたがるお喋りな人 というのが時々いるものだ。 南仏からパリに帰るTGVで、夫がまさにこのタイプのムッシュと隣り合わせた。 決して感じの悪いひとではない。むしろ、青い目の表情は明るく、にこやかに愛想が良く、…

La Méditerranée

黄昏時の冬の地中海は、こんな色。 刻々と変わってゆく海と空のグラデーションは、ずっと眺めていても飽きない。 冬のビーチは人影が少ないかと思いきや、日中よく晴れていたせいか、すっかり当てが外れた。散歩する人、日光浴する人、本を読む人、砂遊びす…

Les boissons à la française

フランスのカフェで、グラスに入った発泡する真っ赤な飲みのもを見かけたら、 それはモナコ。 ビールにグルナデンシロップを加えたもの。真っ赤な甘いビールは、大人用のお子様ビールといったところ。 濃い緑色の飲み物はマンタロ (menthe à l'eau)。ミント…

Les oliviers

南仏の家からは歩いてブーランジェリーにも行けないけれど、その代わりすぐ近くにオリーブの林がある。 ここは私のお気に入りの散歩場所だ。 林を突っ切った所には、オリーブオイルを搾っている昔の風車小屋がある。今では風車は飾りで、製造は主に機械仕掛…

Sous le sapin

ノエルのディナーは、年に一度の親族の集会だ。 南仏の家に、遥々やって来た家族親戚が集まる。子供たちはサパン(モミの木)の足元のプレゼントを気にしながらテーブルにつく。夕食会は8時ごろから始まって、夜中をとうに過ぎるまで賑やかに続く。 シャンパン…

un petit déjeuner provincial

南仏にはいくつか独特の食べ物がある。 これはピサラディエの一切れ。今朝、夫が近所のブーランジェリーで買い求めたもの。 タマネギとアンチョビをクタクタに炒めたものをのせた平たいパン。ピザにも少し似ている。見た目はあまりセクシーでははないけれど…

Arrivé

南仏の家に到着した翌日は快晴。 ここはとにかく太陽が違う。毎朝、顔を洗いたてのお日様がピカーッと世界を照らす。空の色が違う。光が違う。当然のように風景も。 マルセル・パニヨルの映画に出てくるような、石灰質の白い丘がアジュール (azur 紺碧) の空…

Vu du train

南仏に向かうTGVの車窓より。 冬休みのヴァカンスが始まった。 毎年のように、ノエルのプレゼントでパンパンのトランクを引っ張って電車に乗り込んだ。 それにしてもフランスという国は、日本に比べて土地の起伏が少なくとにかくだだっ広い。列車が猛スピー…

Notre dame

近所の教会の前に今年も据えられたモミの木は、日が暮れると灯りが点る。 豆電球に縁取られた枝先がゆらゆら風にそよぐ姿は、まるで深海の光る生き物のようだ。 夜、テレビで、4月に火災にあったノートルダム寺院の特集番組を見た。着工から今日に至るまでの…

Mettez vous vos baskets

若者よ スニーカーの紐を結い 街に出よ 公共交通機関の大々的なグレーブ(ストライキ)が始まってから、もうすぐ2週間が経とうとしている。どうやら、記録を塗り替える長期戦になりそうだ。 パリの街は電車もメトロも走っていない。運がよければ見かけるバスは…

Dimanche, avec mon mari

土曜に引き続き、日曜も夫の料理。 日本ではあまり見かけないけれど、フランスで比較的ポピュラーな野菜の一つに、セロリの根がある。 薄緑色のキメの荒い肌に所々デキモノ(?)があり、映画スターウォーズに出てくるエイリアンの頭を思わせる容姿の、ゴツゴ…

Samedi, avec mon mari

両腕をあげてピースする、おめでたい姿のピンクのラングスティーヌ。 最近仕事がつまらないとかで、夫が週末に時々料理をするようになった。それも、私が日々の台所では作らないような、思い切ったタイプの料理だ。 得意のインターネットでレシピをあれこれ…

Chers voisins

私にとってカフェは、自分で淹れるのではなく、誰かに淹れてもらうもの。 そしてフォアグラは、自分で用意するのではなく、毎年末にお隣さんのイザベル&ベルトラン宅でご馳走になるのがすっかり恒例となった。 ブラジル暮らしの経験のある2人のアパルトマン…

Aimez-vous Chopin...

ここのところパリは大雨の日が続いた。 私たちは古いアパルトマンに住んでいる。1930年代の建築物で、赤いひさしの付いたアールデコスタイルの外観は、市の歴史的建造物として指定されているらしい。 もちろん内装は時代と共に幾度か改装されてはいるのだけ…

Les sous entendus

日本語で言うところの「暗黙の了解」というのは、フランス語にも存在する。 夫はフランス人であるけれど、この sous entendus をよく利用する。私は日本人であるけれど、この暗黙の了解があまり得意ではない。いちいち聞いて確認しないと気が済まない。それ…

Les princesses de Grève

しおれかけた台所の薔薇の花だけれど、キャロリーヌがとても褒めてくれた。 この微妙な花の色が素敵、花びんもぴったりね、と。 もう捨ててしまうつもりでいたけれど、彼女にそう言われてみると、首をくたっとさせてうなだれる憂いのある姿がそれなりに魅力…

Insomnie

日が落ちてから紅茶を飲み過ぎたせいで珍しく眠れない。 外は冷たい冬の雨が斜めに降って、強風がごうごう音をたてている。ベッドを抜け出してサロン(居間)のソファーへ。 当分眠れそうにないので、分厚いアレクサンドル・デュマ・フィスの Damme au camélia…

Être une femmes au XIXeme siècle

夫を誘って、Madame Zola というお芝居を観に行った。 作家、エミール・ゾラの夫人にまつわるこの劇を選んだのは、先日観た映画 J'accuse ! の影響で、ゾラについてもっと知りたいと思ったから。 19世紀のフランスはまったく特別な香りのする時代だ。ユゴー…

S’ennuyer

私の台所の壁には、フジタの「黒いドレスのマドレーヌ」が飾ってある。(これは勝手ながら私が付けたタイトル。) フランスでは一般的に、テーブルに肘を付いて人の話を聞くのは、退屈している と相手に示しているようなものだからあまり礼儀正しくない とされ…

Voyage dans le temps

冬はシネマにもってこいの季節。 北風が冷たかろうと、寒々しい雨が降ろうと、どんなに毎日空が重苦しいグレーであろうと、暖かい館内の緋色のシートに身を沈めてしまえば全くお構いなし。 J'accuse (我、告訴したり)という映画を観た。 19世紀末のフランス…