Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Entries from 2021-01-01 to 1 year

Dans le train de retour

冬休み 印象と覚え書き 今年もノエルの休暇を南仏で過ごした。 滞在中はインターネットの恩恵をほとんど受けられず、帰りの特急電車の中でこれを書いている。 行きの車中は、息子がパパの携帯で制限なしのゲーム三昧となった。ふと目をやると、残酷非道極ま…

Sourire charitable

慈悲深いパン 夕刻の買い物帰り。 いつものブーランジェリーでバゲットを買い、まだ温かいそれを息子に持たせて坂道を登っていると、「なんだかこのパン、顔があるねぇ」とのたまう。覗き込むと、確かに。 紙袋からはみ出した頭を、ちょっと横に傾げている。…

Attaque !

さあ大変。 今日は朝から、片付けねばならぬアドミニストレーションの書類がごっそり! フランス語に「師走」という言葉はないけれど、年末はやはり何かと忙しい。そして私は、事務的な書類の処理というものが、大をいくつ付けても足りないくらい苦手なのだ…

Heure dorée

金色の朝 どうした星の巡りあわせなのか、インスピレーションが渾々と湧きあがる朝がある。 前日のメテオは悲観的に雨を告げていたのに、夜が明けてみると、黄金色の太陽が天からの贈り物のように光り輝く朝。そんな日に起こることが多い。グラスに注いだシ…

Les pierres dormants

それは、数日前のこと。 美術館と言うよりは、鉱石の標本室と呼んだ方が正しいようなミュゼに足を運んだ。 その場所は、カルチエラタンのとある大学の構内にひっそりとある。洒落た理科室のような場所で、古めかしくムードはあるけれど、いわゆる美術館と呼…

Plaisir d’hiver

朝の読書 ひょんな方法で読書の時間を見つけた。 週末の朝、いつもは温かいベッドでぐずっているところを、少し早起きしてみた。いつもであれば、起きるや否や台所に直行して、そのまま就業となるのだけれど、今朝は息子の朝食を用意してカウンターに並べた…

Cristallisation

自分への応援歌 ひとつ、夢を見た。 その後しばらく忘れていたら、不意に向こうから再び現れて、また夢見た。結晶化できるかなと思って心が高鳴ったけれど、触れられそうになったところで、それは再び遠ざかって潰えた。 きっとそういうものさ。 悲しんでい…

Galette orientale de Sonia

ソニアのガレット 先日のこと。 ガレットを焼くからお茶においでと誘われ、二つ返事で飛んで行った。 ガレットにもいろいろあるけれど、ソニアのそれは、スムールという粒の大きい小麦粉を練って作る、パンに似た「素朴なガレット」だと言う。昔童話で読んだ…

Anniversaire Chou-Fleur

カリフラワーのはなし 今朝、目を覚ますと、濃い霧に覆われた街が眠たげに霞んでいた。パリの霧は珍しい。 吐く息が白い季節になると、うちにも暖炉があったらいいのになぁと思う。 近所に住む義理の姉、アンの家には、ガラスの扉の付いた小さな暖炉がある。…

Une pièce, une pensée

よく晴れた月曜日。 秋休みが明けた今朝、息子は久々に学校に行った。 快晴の空とは裏腹に、月曜の朝、ことに新学期の月曜の朝の彼は憂鬱な面持ちだ。 息子に限らず、この週末に会ったソエルもジャッドも、マリーもエミリーも、みんな一様にして学校再開を嘆…

Parfum dans Le parfum

秋という季節に似合うもの、なぁんだ それは、香水。 木々は淋しく葉を落とし、緑萌え花薫る季節が遠のくと、最後は残された想像力の出番となる。香水は想像の花園への招待状だ。空気は冷たく、湿り気もなく、秋は香りの輪郭を捉え愉しむのにおあつらえ向き…

Voyage olfactif avec les enfants

子供たちの秋休みも終盤。 友人ソニアと、子供たちを連れて昼下がりのパリをそぞろ歩く。 オペラ座に近い19世紀のパッサージュを潜り、その中に並ぶショーウィンドウを眺め、それから、今回のお目当ての一つであるスパイスの店に入る。 大航海時代の香辛料へ…

Vie intérieure

もしも、 人の魂が何度も生まれ変わるのだとしたら、 今の姿になる以前は、いつ、どこに居たと思う? そんな他愛のない会話をしたのは、昨日の夕方のことだった。友と肩を並べ、教会の前の坂道を下りながらお喋りしていた時だ。雨上がりで、濡れた道に切り絵…

Confiture de Nostradamus

ジャムとノストラダムス 今日、ふとしたきっかけから知ったこと。 神秘のベールに包まれたあのノストラダムスが、かわいらしくも、なんとジャムに関する書籍を記していたこと。占星術師だとばかり思っていたら、お医者様でもあったこと。名前の印象から、勝…

Il s’appelle Acrobate

マリーンのところの猫 先日お昼に呼ばれた友人マリーンのところには、息子が3人、夫がひとり、猫が一匹住んでいる。猫はもともと拾いネコで、聞けばやっぱりオスなのだと言う。 男の子ばっかりの「デスタン (宿命) ね」と言うと、笑って肯定するマリーンだ。…

Madeleines de dimanche

ときどき作りたくなるらしいのだ。 日曜の午後に一念発起して、 3年に1度くらいの、夫のマドレーヌ。 確かに、お菓子作りには、ある種の癒しの効果があると思う。 卵の黄身にお砂糖を加えて、泡立て器で混ぜる時の色やテクスチャーの心地良さ。バターがいか…

Faiblesse des hommes

男の人の弱さとは 本来ならば、満月の夜。 昼間から曇り空で、湿った風が吹いていたのが、夜になり激しい嵐になった。満月まで吹き飛ばされて姿が見えない。 乱暴な風が、居間のガラス窓目掛けて思いきり身を叩き付けてくる。バルコニーのオリーブの木を荒々…

Temps d’attente

待っている時間 待っている時間は、いたずらに長い。 待っている時間は、なかなか過ぎてくれない。 待っている間は、どうしても待ち遠しい。 その言葉通り、待てば待つほど遠くなるのだ。 では、どうすればいいのかと言うと、 上手に待つためには、待たなけ…

Itinéraire

今年も、星の朝のセゾンがやって来た。 まだ太陽の出ない8時前。 息子を学校まで送る。空は紺色。表は黄色い街灯が煌々と灯っている。 昨晩の雨は降り止んで、洗い立ての世界はまだ湿った匂いがする。久々に澄んだ冷たい空気。肺一杯に吸い込む。 門の前で頬…

Petite pensée nocturne

夜、窓の向こうで、雨が地を打つ微かな音がする。 晴れの日が好きだけれど、久しぶりに降る雨には心がほっと安堵する。 挽いたコーヒー豆に、回しかけたポットのお湯がじわじわと染み込むように、黒い土に細かい雨がしっとり染み込んで、根を潤した植物達が…

Éloge au fruit sacré

イチジク賛歌 今年も、イチジク。 なだらかな曲線を描く紫の実は、教会に祀られた聖母マリアさまの石像の乳房のよう。 少し尖って形よく、品がある。 店先でその姿を見かける度に、心を掴まれ、密かにときめく。指先でそっと選らび取り、慎重に紙袋の底に納…

Café, Cosmos et tomates

パリは美しい秋晴れの日が続いている。 土曜の朝。 久々に仲良しが集まって、キャロリーヌのお屋敷 (風格のある家なので私はそう呼んでいる) のキッチンで、女3人かしまし朝のお茶会となった。 窓越しに見える庭には、背の高いコスモスがたくさん咲いていた…

Parfum d’automne

パリにない花の香り 最近、街を歩いている時に、ふとどこからか金木犀の香りがしたことが二、三度あった。周りを見渡すけれど、それらしい木も花も見当たらない。 だいたい、フランスで金木犀を見かけたことがない。いつか中国を旅した時、金木犀で有名な小…

Une longue journée

雨、時々くもり、のち晴れ 激しい雨の中、停留所で、傘をさしてぼんやりバスを待っていた。 と、「サリュー!」と明るい声がして、誰かが顔を覗き込んできた。雨を滴らせた紺色のレインコート姿が頭を傾げている。頭からすっぽりキャップを被ったキャロリー…

Absence d’anomalie

10月最初の日。 今朝の気温は10度にも達しない。 トレンチコートをひっかけて、先日の診察に引き続き、今朝は数々の検査を受けに行った。ラボに赴き、ドクターの出した書類を提出して、腹部やら喉やらのエコグラフィーを撮ってもらう。 結果から言うと、どこ…

Blue Monday ?

雨の月曜日 街路樹のマロニエの葉が黄金色に色付き始め、雨に散ってタピスリーのように歩道を覆い、詩情がある。秋のパリの風物詩のひとつだ。 ブルーマンデーとはよく言ったもので、月曜の朝は息子の寝起きがすこぶる悪い。肌寒い季節に入り、雨降りの朝と…

Ma collection

近況 友達とバスに乗って古本を売りに行った。 彼女は現在、人生の整理整頓をする時期にいる。取り敢えず、身辺の「モノ」の整理から手を付けるのが理に叶っているので、必要最低限のもの以外は手放す作業に勤しんでいる。そこへ私も便乗させてもらうことに…

Etre heureuse

最近ずっとインディアン・サマーが続いていたけれど、今日は時々雨が降って夜半は涼しくなった。 夫は、カイシャから帰るなり、薄手のセーターに腕を突っ込みながら、「ほーら、秋が来た」とのたまう。まるで「覚悟しろ」とでも言うような口調で。 彼曰く、…

Mon père

毎日いろいろなことがいっぱい起こって、思うこともたくさんあって、日々の記録に残す暇も見つからないまま、時間が超特急で過ぎていく。 今日は、父伝にご縁があり、日本からパリの大学に交換留学中の20歳の女の子2人を、我が家にランチに招いた。歳の違う…

Meilleure boisson ?

我が家はオリーブオイルを飲むように消費する。 例えば、1Lの瓶なんて一週間くらいで空になる。 昨日、近所で珍しく獅子唐を手に入れたので、どう料理しようかちょっと思案して、結局、得意のオーブングリルにすることにした。 オーブン料理の楽しみは、中に…