Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Entries from 2021-01-01 to 1 month

Une bombe

歩いていたらリンゴが置いてあった。 道の脇の深緑色のベンチの上に、ちょこんと。 今日はメトロに乗りたくないと息子が言うので、学校から家までの3キロ半をてくてく歩いている途中だった。 運動嫌いな息子がどうして歩きたがったのかと言うと、「メトロは…

L’éloge de la lumière dansante

夜更けの浴室にロウソクを灯すのが習慣になったのはいつからだったかしら。 確か去年の夏の終わりからだ。最近の話なのだ。 夏休みにマルセイユで借りた見知らぬ女性のアパルトマン。そのバスルームの浴槽の脇には、どっしりと大きなキャンドルがさも当たり…

Un week-end hivernal

昨日の土曜は、久々に女の子3人かしまし朝のお茶会を決行した。 集まったのはいつもの仲良しメンバー。考えてみたら今年に入って初めての総会だ。と言うのも、キャロリーヌのお館は改装工事中、ユキさんは再就職してから忙しく、我が家はウィークデーは夫が…

Aujourd’hui e.t.c.

一昨日だったか、アパルトマンのエレベーターで最上階に住むフランソワと顔を合わせた。 なぜか普段あまりすれ違うことのない彼だけれど、小柄で誠実で清潔感があり好感を持てる人だ。年齢は50をほんの少し超えたくらいだろうか。髪には白いものが目立ち始め…

Nuit ventée

風の強い日。 アメリカ大統領の就任式の日。 その様子を、いつものように食器を洗いながらキッチンのラジオで聞く。暴動もなくつつがなく事が運んだことに、遠い空の下ながらも胸を撫で下ろす。 数日前のラジオでは、敗北を認めないやけっぱちのトランプ氏が…

Lettre pour le président

昨日の雪はたった1日で溶けてしまった。 窓から外に目をやると、アパルトマンの中庭の芝生の上に、雪だるまだけがまだ昨日の形を留めている。微笑ましい。フランスでは夏のオヤツに食べるいわゆるアイスのことをエスキモーと呼ぶけれど、取り残された雪だる…

Botaniste

朝、たった1章の短い読書。 本の著者は、パリの植物公園の附属研究所で草花の標本を作っている人。自然科学者と呼ぶのかしらん。 たった数ページの上に託された、少年時代の筆者の目に映った自然描写にすっかり没頭した。広大な麦畑と葡萄畑に挟まれた場所で…

Première neige de l’année

土曜の朝、外が白く明るい。 見ると雪が降っていた。 窓の外は、お菓子作りの粉砂糖をふるいにかけたような景色だ。 今年から息子に毎週末マテマティックを教えに来てくれるエディーに熱いお茶を出し、久々に積もりそうだねと窓の外を眺めながら話した。 息…

Meilleur cadeau

今日は洋服ダンスの奥や本棚の上に忍ばせておいたカドー (cadeaux プレゼント) が日の目を見る日だ。 朝、夫はボンジュルネと言って久々にカイシャに、息子は行ってきますと言って学校に、次々と出掛けて行った。 台所のカウンターの上の後片付けをしている…

C’est mon tour

相変わらずの騒動のお陰でオシャレをして出かけたり人に会うことも少なく、毎日同じような服ばかり着ている。 時々しか外出しないからこそ、外に出る時はファッションショーの表舞台に出るのだと思うことにしようかしら。 日々のファッションといえば、以前…

Chanson d’Hélène

ラジオでエレーヌのシャンソンという曲を初めて耳にした。 歌っていたのはロミー・シュナイダー。歌声まで麗しい人であったとは。物悲しく美しいメロディーに乗って感傷的なリフレインがゆっくりと、語りかけるように響く。 Tu ne m'aimes plus あなたはもう…

Promenade hivernale

キリリと冷たい晴天の日曜日。 冬の日こそ、稀少なお日様が照ると部屋にいるのがもったいように思えてじっとしていられない。寒空の下、キックボードに乗って疾走する風の子のような息子をお供に、友人と待ち合わせたセーヌ沿いの公園に足を運んだ。 遠目に…

Chasseuse de mots

最近、どういう訳だか朝方によく言葉の夢を見る。 そういうことは過去にはあまりなかったので、あくまで最近の傾向だ。それも割に頻繁に見る。その夢に出てくる言葉というのは、どうも何かのお題のようなのだ。 数日前に見た (聞こえた) 夢の中の言葉は、慌…

Pour ou contre

年明け早々、木々はその枝先に春への期待を募らせている。 近所に買い物に出るのにも手袋が手放せないこの頃だけれど、この冬はここ一番の暖冬だそうだ。 フランスではまず高齢者を優先にワクチン投与が始まった。ところが、どうしたものか隣国に比べて異例…

Meilleur pâtissier de France

年末年始のヴァカンス最後の日曜日、来客があった。 夫の友人ヴィージルが王様のガレット (ガレット・ド・ロワ) を携えてやって来た。 毎年、新しい年が明けた途端に、どのブーランジェリーのウィンドウもこのキツネ色に焼けた円盤状のガレットが一挙に占拠…

2021

何となく 今年は良いことあるごとし 元日の朝、晴れて風なし 石川啄木 年末はバルコニーに置いたテーブルも吹き飛ばされそうな強風と雨の日が続いたけれど、元日の朝は何事もなかったかのようによく晴れてすっかり穏やかだった。その翌日も、翌々日も然り。…