Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Entries from 2021-10-01 to 1 month

Vie intérieure

もしも、 人の魂が何度も生まれ変わるのだとしたら、 今の姿になる以前は、いつ、どこに居たと思う? そんな他愛のない会話をしたのは、昨日の夕方のことだった。友と肩を並べ、教会の前の坂道を下りながらお喋りしていた時だ。雨上がりで、濡れた道に切り絵…

Confiture de Nostradamus

ジャムとノストラダムス 今日、ふとしたきっかけから知ったこと。 神秘のベールに包まれたあのノストラダムスが、かわいらしくも、なんとジャムに関する書籍を記していたこと。占星術師だとばかり思っていたら、お医者様でもあったこと。名前の印象から、勝…

Il s’appelle Acrobate

マリーンのところの猫 先日お昼に呼ばれた友人マリーンのところには、息子が3人、夫がひとり、猫が一匹住んでいる。猫はもともと拾いネコで、聞けばやっぱりオスなのだと言う。 男の子ばっかりの「デスタン (宿命) ね」と言うと、笑って肯定するマリーンだ。…

Madeleines de dimanche

ときどき作りたくなるらしいのだ。 日曜の午後に一念発起して、 3年に1度くらいの、夫のマドレーヌ。 確かに、お菓子作りには、ある種の癒しの効果があると思う。 卵の黄身にお砂糖を加えて、泡立て器で混ぜる時の色やテクスチャーの心地良さ。バターがいか…

Faiblesse des hommes

男の人の弱さとは 本来ならば、満月の夜。 昼間から曇り空で、湿った風が吹いていたのが、夜になり激しい嵐になった。満月まで吹き飛ばされて姿が見えない。 乱暴な風が、居間のガラス窓目掛けて思いきり身を叩き付けてくる。バルコニーのオリーブの木を荒々…

Temps d’attente

待っている時間 待っている時間は、いたずらに長い。 待っている時間は、なかなか過ぎてくれない。 待っている間は、どうしても待ち遠しい。 その言葉通り、待てば待つほど遠くなるのだ。 では、どうすればいいのかと言うと、 上手に待つためには、待たなけ…

Itinéraire

今年も、星の朝のセゾンがやって来た。 まだ太陽の出ない8時前。 息子を学校まで送る。空は紺色。表は黄色い街灯が煌々と灯っている。 昨晩の雨は降り止んで、洗い立ての世界はまだ湿った匂いがする。久々に澄んだ冷たい空気。肺一杯に吸い込む。 門の前で頬…

Petite pensée nocturne

夜、窓の向こうで、雨が地を打つ微かな音がする。 晴れの日が好きだけれど、久しぶりに降る雨には心がほっと安堵する。 挽いたコーヒー豆に、回しかけたポットのお湯がじわじわと染み込むように、黒い土に細かい雨がしっとり染み込んで、根を潤した植物達が…

Éloge au fruit sacré

イチジク賛歌 今年も、イチジク。 なだらかな曲線を描く紫の実は、教会に祀られた聖母マリアさまの石像の乳房のよう。 少し尖って形よく、品がある。 店先でその姿を見かける度に、心を掴まれ、密かにときめく。指先でそっと選らび取り、慎重に紙袋の底に納…

Café, Cosmos et tomates

パリは美しい秋晴れの日が続いている。 土曜の朝。 久々に仲良しが集まって、キャロリーヌのお屋敷 (風格のある家なので私はそう呼んでいる) のキッチンで、女3人かしまし朝のお茶会となった。 窓越しに見える庭には、背の高いコスモスがたくさん咲いていた…

Parfum d’automne

パリにない花の香り 最近、街を歩いている時に、ふとどこからか金木犀の香りがしたことが二、三度あった。周りを見渡すけれど、それらしい木も花も見当たらない。 だいたい、フランスで金木犀を見かけたことがない。いつか中国を旅した時、金木犀で有名な小…

Une longue journée

雨、時々くもり、のち晴れ 激しい雨の中、停留所で、傘をさしてぼんやりバスを待っていた。 と、「サリュー!」と明るい声がして、誰かが顔を覗き込んできた。雨を滴らせた紺色のレインコート姿が頭を傾げている。頭からすっぽりキャップを被ったキャロリー…

Absence d’anomalie

10月最初の日。 今朝の気温は10度にも達しない。 トレンチコートをひっかけて、先日の診察に引き続き、今朝は数々の検査を受けに行った。ラボに赴き、ドクターの出した書類を提出して、腹部やら喉やらのエコグラフィーを撮ってもらう。 結果から言うと、どこ…