Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Entries from 2021-06-01 to 1 month

Me perdre dans un passage

日曜の覚え書き パッサージュに足を運ぶ。 クラシカルな狭いアーケードは、パリの中でも特別な空間だ。19世紀の「何か」が、ガラス屋根のお陰で蒸発せずに漂っている感じがする。すっぽり包み込まれた空間は、雨風を知らない。お菓子に例えると、棒状のキャ…

Soirée Prosecco

土曜の覚え書き ソニアを呼び出し夜の一杯。 聞いて欲しいこと、聞きたいこと、いろいろあったので、ちょっとお喋り。 セーヌ沿いの開放感のあるカフェで、時刻は21時。空はまだ明るい。 お洒落なソニアは、週末だというのにいつものようにピシッとシックな…

Drôles de dames

マジックハンド、マジックアイ、テレパシー パリは菩提樹の黄色い花がむせるように香る季節。 息子が度々お世話になった耳鼻科のドクターが引退なさると聞いたので、近くに用事があったついでに花を持って会いに行った。選んだのは小ぶりの蘭の鉢植え。白に…

Son jardin extraordinaire

キャロリーヌの不思議な庭 今日、新しい花の名前をひとつ覚えた。 東京の友人がお茶の稽古の時に撮ったという写真に、床の間に活けられた青い花が写っていた。アガパンサスというのだそうだ。 花言葉は、「恋の訪れ」なのだとか。 ハッとした。 ちょうど数日…

Petite fête de la musique

夏至の日 フランスは音楽祭の日。 夕食の後、音楽を求めてふらりと外へ。せっかく今日から堂々と夏入りしたというのに、風は涼しく雲行きが怪しい。どうせ明日も息子の学校があって早起きなので、ほんの小一時間だけ散歩することにした。 ちょっとした広場に…

Maison hantée ?

オバケのはなし バスルームから出てきた息子が、何やら浮かない顔をしている。 どうしたの?と訊くと、「オバケがジュースをひっくり返して全部飲んじゃった」と恨めしそうにのたまう。オバケ? ははあ、さては浴槽の縁に置いていたジュースを倒して溢したの…

Fête des pères, tardivement

父の日に寄せて すっかり忘れていたけれど、日曜は日本もフランスも父の日だった。 夫は朝からそれとなく自己申告。 「今日は何の日だっけ?」 そう言えば と思い出したけれど、わざとしらばっくれる。 「何の日って?私の誕生日は冬ですけど?」 夫は苦笑い…

Trop bon

雲行きの怪しい土曜の午後。 息子がどこかに行きたいと言う。 散歩がてら話題の店に大福 mochi を買いに行って、帰りに大きな本屋に寄るというプランはどうかと提案すると、目を輝かせて二つ返事で乗ってきた。 6区の Maison du Mochi の前には行列が出来て…

Comme chaque année

初夏の風物詩 毎年6月後半といえば、来る9月の新学期に向けて、子供の学校や習い事など諸々の更新手続きの時期だ。ヴァカンス前の一作業といったところ。 フランス人というのは大変紙好きな民族で、例えそこに書き込む内容に全く変更がなくても、毎年大量に…

Dame blanche

選手交代 新しく炊飯用に注文した鍋が届いた。 これまで使っていた日本製の黒い土鍋とは一変して、フランス製の真っ白な鋳物ホーロー鍋。小ぶりの二合炊きサイズ。蓋が重いので炊飯にピッタリという訳だ。 プロット茸が手に入ったので、さっそくきのこご飯を…

Avant goût des vacances

パリはすっかり夏日。 今日も快晴。最高気温は一気に上がって33度。 ミイラ取りがミイラになるとはよく言ったもの。トーキョーの茹るような暑さと違い、夏日のパリはとにかくカラッカラに乾いている。日向でちょっとでもじっとしていようものなら、あっとい…

Merci ma chère Damme noire

今日も快晴、洗濯日和。 現在、パリの気温は、階を飛ばして一気に屋上を目指すエレベーターのごとく上昇中。 つい2週間ほど前までコートなんて羽織っていたのに、今週は30度を超える。例によって、パリが得意とする掌を返すような季節の変化。来る夏は猛暑に…

Bouquet final

薔薇もいよいよフィナーレ。 近所のキャロリーヌの家に向かう途中、通りかかったアパルトマンの庭に真っ赤な薔薇が咲いていた。これ以上赤いものはあり得ないようなヴィヴィッドな赤。私よりも背が高い長身の麗人。朝の光を受けて、誇り高くつくづく美しい。…

Green monster

ああもどかしや。 すぐ下の階に住む隣人の庭のサクランボが、日に日に赤く色付いていくのである。2階に住む私達の窓から手を伸ばせば、ちょうど届くに違いない高さなのである。 初夏と呼ぶに相応しい爽やかな今朝、客室の東側の窓のカーテンをさーっと開ける…

Vie antérieure ?

胡散臭い事を言うようだけれど、 もしも前世なんてものがあるとしたら、私はひょっとして以前にも一度、フランスで生きたことがあったのかも知れない なんて思う時がある。 それはどんな時かと言うと、例えば自分の名前を発音する時だ。 日本人として日本に…

Pensée du jour

常々思うのだけれど、どうして1週間は7日で、休みと言えば土曜と日曜で、その上、1日に3回も私達はごはんを食べるのだろう? 放っておいてもらえるなら、私の場合、月曜日は土曜日となんら変わりない。今も昔も徹夜なんてへっちゃらで、時計がなかったら私の…

Le goût de tuiles

思い出のチュイル 金曜の夕方は、息子を連れて図書館に行った。 ついでに、その近くに住む同郷の友、ユキさんに久々に電話してみることにした。ちょうど彼女のテレワークが終わる時間帯。よく晴れて気持ちの良い夕方なので、息子がマンガの棚で長居する間、…

Affaire mystérieuse

明け方に雨がどっさり降った。 豪華に雷も鳴った。遮光カーテンを突き抜けて、稲光が何度も寝室の白い壁を照らしたので、さすがの私も目が覚めてしまった。空があんまり号泣するので、気が付かずにはいられなかったという具合。時計を見るとまだ5時。 もうひ…

La vie en rose

人生は薔薇色かどうかについて まったく、人生は戦いだと思う。そう思わされる時がある。 百戦錬磨の騎士はカッコいい。でも、いつも戦っていたら疲れてしまう。だから、肩肘張った戦闘態勢はほどほどにしておかなくちゃ と、自分に言い聞かせるようにしてい…