Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Lavez-vous les mains

Ok, pas de problème. Lavons-nous les mains très régulièrement. Et avec plaisir.
サンジェルマンデプレに用事がてら、知る人ぞ知るこじんまりとしたブティックに立ち寄った。

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主にフェイスケア用品を扱うブティックだけれど、私のお目当ては香りのよいハンドソープ。

レトロな市松模様の床に、燻しがかった真鍮のラバボ(洗面台)がシックで美しい。ラボと呼びたくなるような、飾り気のない飴茶色のフラコン(瓶)が棚に大小ずらりと並んでいる。薄暗く、上品でどこか謎めいた店構えだ。店員の若いムッシュは、墨色の立ち襟の制服に身を包み、慎ましやかだ。お客は私以外に誰もいない。ウィンドウの外は明るくて、目的を持って闊歩するパリジャンパリジェンヌ達が、まるでそんなところにブティックなんて存在しないかのように、立ち止まりもせずに通り過ぎていく。

 

ローズマリーの清涼な香りのハンドソープを選んだ。店員の彼はついでに好みの香りや肌のタイプなどを訊ね、カウンターの裏側の幅広の引き出しを音もなく開くと、整然と収まっている無数の試供品の中から迷いのない手つきでひとつふたつ選び出し、ハンドソープと一緒に手渡してくれた。見るとその包みにパウル・クレーの言葉が記されていた。

 

"One eye sees, the other feels"  Paul Klee

 

ハンドソープは流しの横に鎮座して、私のキッチンはほのかにローズマリーの香り。邪気を遠のけてくれる。エピデミーよ、飛んでいけ。