Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Parfumez-vous les mains

これはアルコール・ドゥ・マント (alcool de menthe)の小瓶。

f:id:Mihoy:20200313094658j:image

日本で言うところのハッカ油。

本来は、料理の香り付けや乗り物酔い防止などに使われるようだけれど、アルコール80%なので消毒液の代わりになりそうだ。その上、爽やかなミントの香り。ポケットサイズの平いガラス小瓶も粋だ。

外出の際は、これを鞄に忍ばせることにしている。容量の小さいハンドバッグにだってちゃんと収まる。小さくとも列記としたお酒であるので、開高健あたりの渋い男性がポケットにウィスキーボトルを携帯しているイメージが浮かび、急に女性版「酒飲み釣り男」になった気分になってなんだか可笑しい。

何にしたって、消毒ジェルはどこのファーマシーでも軒並み売り切れなのだ。

 

とうとうフランスもイタリアに次ぎ、国内全土の学校閉鎖が確定した。木曜の夜、家族3人でテレビの前に陣取り、8時の大統領の演説に注意深く耳を傾けた。このシーンは、もっと大きくなってからきっと息子も思い出すに違いない。世界規模で異例の事態が起こっている。息子もその緊迫感を肌に感じ取ったに違いない。

 

長期休校の決定に、息子は手を叩いて大喜びこそしないもののまんざらでもない様子。長いヴァカンスに入ったのだと勘違いされぬよう、「家に居ても毎日学校から宿題が出るんだからな」と、パパにしっかり水を差された。

 

ミュゼ(美術館)やテアトル、シネマ、ベルサイユ宮殿、そしてパリのシンボルであるエッフェル塔も閉鎖が決まった。それに加えて今日土曜には、新たにカフェやレストランの閉鎖措置も発表された。前代未聞のことだ。

ミュゼもカフェもないパリは、もはやパリではない。都会からカルチャーを奪うと、およそ価値らしきものが見当たらない。


今回のパンデミー騒動は、個人的に色々な事を見直すチャンスになっている。

例えば、都会暮らしと自然の中の暮らしについて。カルチャーが存在しない暮らしに私は耐えられないと思うけれど、もしかしたら、周りに気の合う友達が数人いて、本と、それを読む時間さえあれば、案外楽しく暮らせるかも知れないと思ったりする。小川のある森での暮らしに憧れていたりする。