Rhododendron

フローリストの店先で石楠花(シャクナゲ)を見かけた。

今年もそんな季節になった。

フランス語の名前は rhododendron ホドダンドゥロンと、まだらっこしい。似ても似つかない dindon (ダンドン/七面鳥) を思わせて、ちょっと笑ってしまう響きだ。

フランスに来て初めて迎えた春、パーク・フロラルに連れて行ってくれたボーイフレンドにその名を教わった。面白い名前でしょ？知らない人も多いから覚えておくといいよ、そんな名前よく知ってるね　ときっと驚かれるよ　と、笑って教授してくれた。和の風情のあるピンクの石楠花が、ヴァンセンヌのお城の袂の広大な公園に一面に咲いていて目を奪われた。

結局、「ホドダンドゥロン」を人前で披露して賛辞を得る機会はついになかったけれど、北風がだいぶ和らいで、グレーのパリに艶やかな石楠花のピンクがお目見えすると、息子に話す。この花の名前、覚えてる？覚えておくと、いつかどこかで誰かに褒めてもらえるかも知れないよ、と。