自分の時間がぜんぜん無い。
全く無い。
見事に無い。
ママンの仕事は起きている間中ノンストップだ。
いつになったら?あと何年?と思うけれど、その答えも分からない。とりあえず暫くは延々と続く。
待つのは嫌いだ。上手に待つには待たないに限る。そう思ってはいても、やっぱり「一体いつ?」と時々待ち遠しく思ってしまうのだけれど。
ようやく一日の仕事から解放された頃、クッタクタに疲れた自分の体にお疲れ様のハーブティーを淹れてあげる。一日の終わりのおまけの時間。
そう言えばこの間リンデンのお茶を買ったんだっけ と思い出して、今さっき片付けたばかりの台所の引き出しをガサゴソ探り、紙袋に入った香りのよい菩提樹の葉を一掴み、カサカサとティーポットに充填する。疲れた心も充填する。ついでにカモミールの白く可憐な花もふたつみっつ足してみる。楕円形の葉っぱの形や、その規則的で繊細な葉脈や、びっしり付いた花びらが綺麗だなぁと思って眺める。ティーポットの中のガーデン。そんな些細なものに日々救われている。ささやかなれど、れっきとした美の力。植物の魔法。
読みたい本を読む体力さえ残っていない夜更けに、そっと私に救いの手を差し伸べてくれるのは、やっぱり植物なのだ。