Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Summer time

明日からサマータイム。

f:id:Mihoy:20200329084022j:image

つまり、今日と明日の間の一時間が消えてしまう。

明日の朝は、家中の時計の針を一時間進めて回ることになる。同じ場所にいながら、季節によって時差が生じる不思議な仕組み。そんなヨーロッパの夏冬時間制度も、今年でお終いだそうだ。

 

近所に買い物に出ると、街角の花壇のコクリコ(coquelicot ケシ) の花が美しい。道ゆく人など殆どいないというのに。坂道の途中にある遅咲きのピンクの八重桜も、人知れず蕾を付け始めた。

今日もよく晴れて気持ちがよい。風が吹くと、リンゴの木に似た街路樹の白い花が、小さな花びらをひらひら散らせて紙吹雪のよう。母の誕生月の3月は、やっぱり素敵な月だ。

 

フランスの春の冬籠りは、3週間の延長が決まった。

 

コメディーを好まない夫は、最近、ゾンビの出てくる海外連続ドラマに夢中で、夜な夜な書斎に閉じこもって画面にかじり付いている。こんなに生き生きとした春だというのに、奇特な人だ。おぞましいゾンビの叫び声が時々ドアの隙間から漏れてきて、私の静かな夜の時間を汚すので、それをかき消すために音楽をかける。昔実家でよく聴いていたホロヴィッツのショパン。子供の頃の私に美しいものを教えてくれた父と母に感謝。

 

学校が閉鎖されいている間、日々、先生達から自習用のカリキュラムが送られてくる。それを夜な夜なチェックするのが冬籠り中の私の日課となっている。息子の歴史の授業の内容は、ローマの誕生を経て、これから一神教のユダヤ教誕生に入ろうとしている。ユダヤ教、旧約聖書、モーゼの十戒・・・etc.。そうだ、事始めにこの週末は、私にとっても思い出深いディズニー映画、プリンス・オブ・エジプトを息子と一緒に観よう。あの映画に出てくる疫病のシーンは、奇しくも現在の世界状況と重なる。神の送った不吉な煙(エピデミー)が、締め閉ざされた民家の窓や戸口の隙間から入り込んで人の命を奪い去っていくシーンは、不気味に印象的で今でもよく覚えている。

 

毎夕、教会の鐘の音が響き渡る度に、状況が一刻も良くなりますようにと祈る。

 

日本の父が、ずっと元気でありますように。叔父叔母や親愛なる人達が、どうぞ元気でありますように。