Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Mon petit prince

明日は息子の誕生日。

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彼が学校に行っている午前中の間に届くはずのプレゼントが、待てど暮らせど届かない。やはりここはフランスなのだ。時間指定お届けシステムなんて、当てになりはしない。明日までに届いてくれればいいのだけれど。この地に住んで長くなると、この程度の事で目くじら立てたりはしなくなる。気長になるというものだ。

 

私が子供の頃に愛読していた、「ぼくは王様」の本に出てくる王様の好物は卵だったけれど、私のかわいい petit prince は、卵もミルクも小麦粉もお気に召さず、お召し上がりにならない。

明日は、私の考案したレシピで、ひよこ豆とバナナと米粉のケーキを焼く。シナモンもたっぷり入れる。私のちっちゃな王子様は、このずっしりとしたバナナケーキが大好きだ。

 

おやすみなさいを言う前、昨夜から一緒に読み始めた Le petit prince の本を広げる。星の王子様の台詞のところは息子が担当する。

Dessine-moi un mouton

「ヒツジの絵を描いておくれよ」

なんて適役なのだろう と、我が子ながら惚れ惚れ聞き入る。星の王子様は、ちょうどぴったり息子くらいの年頃なのだ。

そして、夏の終わりから切り損ねて少し髪の伸びた息子は、金髪でこそないけれど、ちょうど白地のパジャマの上にロワイヤルブルーの青いガウンを羽織って、まるで本物の星の王子様だ。

 

キリの良いところまで読んで栞を挟もうとすると、もう少しだけ先を読んでくれとせがまれた。このアンコール (encore) には私も覚えがある。母が夜な夜な本を読んでくれた子供時代、私もよくこの「もう少しだけ」をおねだりしたものだ。

そして母は、よくこのアンコールに応えてくれたものだ。

だから私も、閉じかけた本を広げる。

もう遅いから、あと一章だけね。