この街に来て、今日でちょうど20年。
その間、恋人が変わり、子供を授かり、母がこの世を去った。
20年の間、数えきれないほど色々な事があったけれど、一番大きな出来事と言ったらそれくらいのものだ。
そして私は、20代から40代になった。
バルザックの有名な作品に comédie humaine (人間喜劇)と題するものがあるけれど、人の世はまさにそういうものなのだ と思うようになった。
何が起こっても、所詮、私達の営みは人間の織りなす喜劇の一巻なのだ と。人間は愛おしくも戯けた存在だから、何が起こっても大した事はない。
C'est la vie ! 人生なんてそんなもの。
でも、物事の渦中にあると、概してそんな風にクールには捉えられないことが多い。ある程度の俯瞰が必要なのだ。そしてこの「距離のとり方」は、往々にして時間が教えてくれるものだ。20代の私には掴めなかった、この俯瞰する方法のコツが、今の私にはようやく少し見えてきた。時間はきっといつだって味方なのだと思う。
そして、
偶然にも、私がパリに降り立った今日という日は、夫の誕生日でもある。
おめでとう を彼に。
おめでとう を私に。