今日の覚え書き
ひょんなご縁で、日本人の方がパリ郊外のご自宅で開いていらっしゃる「発酵食アトリエ」にお邪魔する機会を得た。
常滑からいらした、先祖代々続く伝統的な陶芸家の3代目の方をお招きしての粋なランチ会だった。
細くてもいいから、長く、とにかく続けていけることが大切 という言葉が耳に残った。細く長く。最近この言葉を耳にしたのは2度目だ。
細く長く か、太く短く か、どちらの人生がいい?と聞かれたら、断然後者の方だ と若い頃はずっと思っていた。けれども、継続は力なり。地道に続けていくことは、いつかそう簡単には追随を許さない確かな強さになり得る。時間の力によるものだ。その貴重さにちゃんと気が付いたのは、つい最近の事だ。
ついでに、時間が解決してくれる という言葉も、昔は、卑怯な解決法だと憤慨したものだけれど、今はそれもありだと肯ける。それどころか、魔法にも似た神がかり的な解決法の一つだとさえ思う。
それにしても、手間隙を惜しまず、ゆっくり時間をかけて作られたお料理の美味しかったこと。心に染みる味がした。アトリエを開催していらっしゃる元気な女性は、まさに体の内側から輝いているのが見えた。
故郷は遠きにありて想うもの
祖国を離れてこそ見える良さがある。今や私にとって日本は、時々しか会えない恋人のようなものだ。だから、フランスでお目にかかるジャポンは、嬉しさと共にどこかしら切なさが伴う。今日は、そんな恋人の噂を聞きに行ったような日だった。