Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Le muguet

すずらんを手に入れし。

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心うれし。

 

朝方、眠い目をこすりこすり起き上がると、友人ソニアからSMSが届いた。

愛らしいスズラン(muguet ミュゲ) の絵の入った詩のようなメッセージだった。

 

En ce premier jour de mai,

Reçois ce brin de muguet.

Qu'il ensoleille ton cœur,

Et qu'il te porte bonheur.

 

5月初めの今日という日、

ひと束のすずらんをあなたに。

心におひさまの光を、

そして幸せをもたらしますように。

 

朝からにっこり。1日のスタートを気持ちよく切った。

 

そう、今日は5月1日。フランスではスズランを贈ったり飾ったりする習慣がある。ロックダウン生活で日にちの感覚がすっかり無くなっていたから、ソニアの粋な言葉の贈り物に感謝。一枚カレンダーをめくる。

 

雨上がりのタイミングを見計らって朝の散歩に出ると、家の目の前の信号のところで、同じアパルトマンに住むムッシューとすれ違った。ロックダウン中に初めて言葉を交わしたお隣さんの1人だ。同じ屋根の下に住んでいるというのに、それまで一度も顔を合わせたことがなかった。普段は仕事で不在がちなのだろう。今朝は、2人の小さい息子さんを連れて散歩帰りのようだ。小さいすずらんのブーケを手にしているのが目に入り、「Bonjour ! すずらん、手に入ってラッキーですね!」と声をかけると、「坂を下った所に花売りのマダムが居ますよ!」と教えてくれた。やり取りの途中で信号が赤に変わったけれど、何せこのご時世で車なんて走っていないから、気にせずゆっくりすれ違う。どこかの田舎の村人にでもなったような気分だ。

 

かくして、焼きたてバゲット一本と、すずらんのブーケをひと束手に入れて帰る。

ブーランジェリー (パン屋) 以外の商店はみんな閉まっているけれど、ロックダウン解除を10日後に控え、街のムードがどこかしら変わり始めている。モノクロのゴーストタウンが、少しずつ色を取り戻しつつある。

本屋のショーウィンドウはいつの間にか展示物が変わっていた。靴屋は、店主のムッシューがちょうどウィンドーに夏用のサンダルを並べているところだった。その隣にあるブティックも、明るい柄のワンピースや赤いミニジュップ(ミニスカート)を飾り、戸口には A très bientôt ! (See you very soon ! ) の張り紙があった。

 

胸に espoir (エスポワール/ 希望) の文字が浮かぶ。

これもスズランの魔法かな?