Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

La Défense

これもパリの一風景。

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パリの西の最果てのラ・デファンスは、東京でいうところの新宿のような場所。ロマンチックなオスマン様式の建物などは見当たらず、ピカピカのガラス張り高層ビルが立ち並ぶオフィス街。

この、普段はまったく縁のない場所に、夏休みの子ども達を喜ばせるべく様々なインスタレーションが設置されていると隣人ヴェロニックに聞いたので、足を運んでみた。当のヴェロニックは、7月に入った途端に一家揃ってペイ・バスクにヴァカンスに出てしまった。ヴェロニックのみならず、近所の友人は皆こぞってヴァカンス中。窓を見上げても、空き巣防止に雨戸がぴっちり閉じられている。今年の私達は居残り組だ。

 

そんな7月。パリジャンパリジェンヌのいないパリをあちこち闊歩しようと思ったのだ。夏のパリに居残るのは、息子が生まれて以来初めてのこと。パリのサマータイムを満喫するのも悪くないだろうと思った。

結果的には、「文化の秋」とはよく言ったもので、都会やカルチャーとかいったものは少し肌寒いくらいの季節のほうが断然向いている。夏はやはり自然のある場所が一番だ。

 

夏のパリは普段の半分だって機能していない。居残って働く人たちは、「みんなはヴァカンスに出ているのに自分は」と、可愛らしいくらいあからさまに口を尖らせていて、サービス業などは普段にも増してやる気がない。よく言えばのんびり。いわゆる完全なヴァカンスモードである。

涼を求めてショッピングセンターに入れば、ただえさえ少ないレストルームが全て「閉まって」いた。トイレまでヴァカンスだなんて!インフォメーションカウンターには誰の姿もない。警備員のムッシューに尋ねても、「トイレ?確かに閉まってるねぇ。ないねぇ。」

マカロンを売っているスタンドを見かけたので、お茶の時間のお楽しみに買って帰ろうかと思えば、バイトの女の子はレジの引き出しが閉まったきり開けられない。開き直った様子で「お買い上げ頂けません」とのたまう。それでも店は一応開いているので、お客が来ては事情を聞いて諦めて踵を返す。彼女、売り上げがすこぶる悪くて今夜店長に怒られないといいけれど。

カフェに入ろうと思えば、閉店時間15時とのこと。時計を見ると5分前。ここはオフィス街だから特別なのだろうけれど、それにしては商店も多く結構な人手だ。違う場所を見つけて入れば、着席してだいぶ待ってもギャルソンが注文を取りに来ない。そのままお喋りして、一休みして、持ち込んだオヤツだけ食べて、メルシーと言いながら出て行っても、きっと彼らは気付かなかったに違いない。

 

怠慢なムードの、いや、完璧なヴァカンスモードのパリを味わった1日だった。