Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Green sleeves

緑にまつわるあれこれ。

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もうすぐ始まるソルド (solde) に先駆けて、vente privée (ヴォント・プリべ / 顧客用先行セール) が始まったので、近所の店で家族と自分用にTシャツを数枚見繕う。家に帰ってそれを買い物袋から出して気が付いた。どれもすべてグリーンなのだ。全く意識していなかったけれど。きっとロックダウン中に緑に飢えていた名残りね と我ながら苦笑する。

 

昨日届いたメールの中に、行きつけのオーガニックショップからの異色の一通があった。Besoin d´un plant sitter pendant vos vacances ? (ヴァカンス中のプラントシッターをお探しですか?)  

常連客の鉢植えを夏の間預かり、水遣りを代行してくれるというのだ。それも無料で。思わず Génial ! (すばらしい!) と叫んでしまった。

我が家には大事にしている鉢植えがいくつかある。6年前の引越し祝いに、義理の姉が枝分けして贈ってくれたベンジャミン。子供の頃実家で母が育てていたのと同じクロトン。それから名前も知らないコーヒーの木に似た鉢植え。毎年夏休みが来る度に、不在中のこの子たちをどうしようかと悩む。今年はそれに加えて、新入りの、夫のアフリカ出張みやげのバオバブもある。(IKEAで買った蘭も居間にたくさん育てているけれど、タフな彼女たちは、出発前にたくさん水をやれば一ヶ月くらい放って置いても文句を言わない。)

下の階に住むクリステルのように、アパルトマンの管理人のムッシューに鍵を預けようか、それとも隣人のイザベルに頼もうか。どちらも都合が付かなければ、去年のようにペットボトルの底を切って逆さにし、水を張って土に挿す即席の水遣り装置(?)を細工するしかない。そう思っていた矢先だった。今年はこのオーガニックショップに預かってもらうことにしよう。

 

ついでに、そのプラントシッターのメールで、私の好きな絵本「鉢植えはぼくにまかせて」を思い出した。どろんこハリーと同じ作者の本だ。

夏休みにどこにも行かない男の子が、ヴァカンスに出るご近所さん達の鉢植えを預かる話。たくさんの緑に囲まれて、居間はジャングルに、お風呂は森の中の小さな湖になる。男の子は、こんなに楽しいことったらないと思うけれど、お父さんは家中がジャマな鉢植えだらけで毎日不機嫌。ところが、ヴァカンスから帰った隣人達がひとたび鉢植えをみんな引き取ってしまうと、お父さんはあの緑が懐かしいと言うのだ。そして男の子の一家は、一足遅いヴァカンスに旅立ってゆく。すてきなお話だ。

息子の本棚からその本を探し出し、ソファーで久々に一緒にめくってみる。一般的には息子はもう絵本の年齢ではないけれど、よい本は何才になっても良い。

 

絵本を閉じ、手元にあった雑誌を広げたら、そこにもやっぱりGreen の文字が出てきた。台所に行って緑茶を淹れ、それを持ってソファーに戻り、記事の続きを読む。

私の緑の時代の到来だ。