Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

My favorite things

すっかり食欲の秋。

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この頃のお気に入りは、木の実とドライフルーツがぎっしり詰まったプチパン。行きつけのオーガニック食材品店のカウンターの上に、いつも小さなパニエ (かご) に入って売られている。小さくともずっしり重く、ごろりと無骨な石のような形。マフィンの要領で横半分にナイフを入れ、オーブンで両面を少しだけ焼いてから頂く。このように切ると、断面にフルーツとナッツが御影石の模様のようにびっしりと顔を出して、その贅沢な光景に思わず口元が綻んでしまう。

合わせる飲み物は断然紅茶がいい。やはり近所で売っている量り売りのアールグレイは、我が家の大きなガラス瓶に切らしたことがない。ベルガモットの香りは母が好んだパルファンのひとつだ。パンに練り込まれたアブリコ (abricot 杏) やレザン (raisin ぶどう) の甘いほのかな香りと、紅茶の柑橘の爽やかな香りとがとてもよくマッチする。忙しい日も、お茶の時間はこれでほっと一息。重量感のあるプチパンは半分でお腹がいっぱいになる。

 

もう一つのお気に入りはシェーブル (山羊のフロマージュ) 。先週末は、ギザギザのクヌギの枯れ葉の上に載った丸いのを買ってみた。一番しっとりしたものはどれかと店のマダムに訊ねたら、これがお勧めだと指差してくれたもの。クヌギの葉っぱだなんて、日本の昔話に登場する、頭に枯れ葉を乗せた秋山のタヌキみたいで愛らしい。こういう小道具使いにめっぽう弱い私だ。勧められるがままに大きな塊を買って帰った。どっしりとしたそのシェーブルは1週間は持つかと思ったら、たった2日でペロリと平らげてしまった。胡桃をのせ、ハチミツをかけて頂くのが私好みだ。もちろん赤ワインを添えるのも忘れない。

 

野菜や果物に旬があるように、季節によって私たちの食指の動く食べ物も変わるものだ。パンもフロマージュも普段はあまり食べない私だけれど、寒い季節になるとお腹をずっしりと満たしてくれるものに自然と手が伸びる。体の中で燃料になってしっかり燃えてくれる重たい食べ物に。これで寒さがやって来てももう大丈夫。冬への準備万端だ。