Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Plat provençal ?

南仏での食事は、相変わらず手の掛からない料理ばかりに専念している。

 

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なんと言っても、夏はサラダとグリル料理に尽きる。

先日、アレックスとフローランスのところでご馳走になった豪快な茄子のグリルが美味しかったので、家でもさっそく作ることにした。ただし、南仏の家のオーブンは小型なので、茄子は縦半分に切る代わりに厚めの輪切りにした。フローランスはクラッシャーで潰したガーリックを一緒にグリルしていた。これがカリカリと絶妙なアクセントになっていたのだけれど、私は和食の焼きナスにヒントを得て、卸し生姜と小口切りのセベット(ネギ)をオリーブオイルと醤油とパプリカパウダーで和え、焼けた茄子の上に乗せてみた。後を引くおいしさで、自画自賛。

 

夏は紫の食べ物がおいしい。茄子、葡萄、イチジク、桑の実。オリーブも、黒オリーブというのはたいてい濃い紫色をしている。

だいたい、真っ黒で、艶々と輝いてシワ一つない黒オリーブというのは、実はケミカル色素で人工的に染めてあるので避けた方がよいのだと、アレックス達が話していた。なんでも最近テレビでルポルタージュを見たとかで、その染色作業というのが、とても人の食べ物とは思えない錬金術なのだそうだ。「よくピザに載ってるアレね。以前はパクパク食べたものだけれど、番組を見て以来もう食べられなくなった」とのたまう。黒オリーブにご用心。

 

先日は、シトロンキャビアという珍しい柑橘を初めて手に入れた。話には聞いていたけれど、実際に見るのも味わうのも初めてで嬉々とした。細長いグリーンの金柑のような色形で、ナイフで半分に切って指で潰すと、キャビアのようにプチプチした粒状の果肉がこぼれ出る。なんて楽しい仕掛けの果実!

これをサラダの野菜に和えると、レモンジュースを内包したパールをまぶしたような塩梅になる。キッチンは実験室。自然は魔法使いだ。

 

どこの家に招かれても、バーベキューの火周りは男性の持ち場と相場が決まっている。我が家も肉や魚のグリルは夫の仕事。そう言えば、風水に詳しい友人が、男性は「火」の要素が強いので、火の象徴である赤いカラーは使い過ぎない方がよいと言っていたのを思い出す。

私は、釣れたての新鮮なイワシのグリルがあればご機嫌だ。海塩をパラパラまぶし、レモンをきゅっと絞って、きりりと冷えた辛口の白ワインがあれば、それだけでご馳走。夏の幸せな食卓になる。