Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Dans le train de retour

冬休み 印象と覚え書き

 

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今年もノエルの休暇を南仏で過ごした。

滞在中はインターネットの恩恵をほとんど受けられず、帰りの特急電車の中でこれを書いている。

 

行きの車中は、息子がパパの携帯で制限なしのゲーム三昧となった。ふと目をやると、残酷非道極まりないゲームに興じているので、やめてくれと頼んで危うく夫婦喧嘩になるところだった。

どんなゲームか一瞥もくれず、とりあえず「みんな」がやっているからいいのだ というのが夫の一点張り。彼は、私が「みんな」を目指してなんかいないことに今だに気が付いていない。リアルとヴァーチャルが混同するなどとは露とも思っていないけれど、親の目が黒いうちの道徳というのは、あって然るべきだと思う。

 

国土一晴れの日が多い南仏で、今回は珍しく雨が多かった。パリパリに乾いた夏の南仏よりも、穏やかな冬の方が私は好きかも知れない。

 

8人で祝ったノエルの晩餐。

パリを出る前に薬局で検査したにも関わらず、ディナー参加者全員が、当日にセルフチェックテストを行うという約束で集まった。緊張感こそないけれど、相変わらずアンノーマルな世界が続く。

迷った末に今年はフォアグラを買わずにいたら、アンがお決まりのソーテルヌワインと一緒に持って来てくれた。息子はスニーカーとトレーナーと本をプレゼントに貰った。思えば、サパンの下から「おもちゃ」が消えた初めてのノエル。靴のサイズは最近ようやくママンを上回り、もうすぐ身長も追い越されそうだ。

可愛がれるうちに可愛がっておくように という、先輩ママンたちの言葉が浮かぶ。ほっぺにチュウもそろそろ卒業かな?それは悲しいな。

 

毎日これといったこともせず、1週間の滞在も終わりに近付いた頃、サナリという海辺の町を訪れた。

例によって運転は義理の姉のアンに任せ、ジェラール伯父に借りた幅広い車で赴く。街灯のない夜の田舎道であろうが、長時間の高速であろうが、車を替えようが、一向に気にかけることなく順調に飛ばすアンにまたもや感心。私も一念発起して、次の夏休み目指して運転にトライしようかしら。

港の船にライティングの施されたサナリは、眩ゆい町だった。時は、屋外でのマスクの使用が再び義務付けられ、年末のお祭り気分の高揚を抑えている。

 

年末行事として、久々に家族3人で映画を観た。息子が選んだ「スパイダーマン」。帰りの急行列車に乗るためにウィルステストを受け、24時間有効の衛生パスを得たので、それを活用した次第。そう、私と息子は今だに非接種の少数派に入る。

4Dを選んだお陰で、夫はのんびり上映中の昼寝ができずに苦笑。パパを他所目に息子はすこぶるご機嫌。私はと言うと、息子とは全く違う観点から思いのほか楽しんだ。

 

上映中にこんな言葉を拾った。

Aider une personne, c'est aider tout le monde 

「1人を助けることは、みんなを救うこと」

なるほど、そういうことか!と思った。

 

年末に息子と見た映画は、これで2つ目。前回は SOS Fantôme Héritage  (ゴーストバスターズ ヘリテージ) を観賞し、これも予想以上に楽しんだ。

偶然だけれど、両方とも、ストーリーの中で古い世代が新しい世代の世界に顔を出す仕組みになっていた。懐かしく、色々な事を思った。子供の頃、買い物帰りにゴーストバスターズの巨大な広告を銀座のビルのてっぺんに見上げた夕方。あの日は母が横に居た。まさに、世代の交代。

 

今、時計は14時過ぎ。急行列車はパリを目指してひた走り、時は新しい年を目指して刻一刻と進む。そんな実感もないままに。

日本はあと2時間足らずで新年。

 

今年も、会えた人、会えない人、たくさんの方々に支えられ、たくさんお世話になりました。個人的には、ようやく物事に進展が見られて、ホッと息をついた年でもありました。

ひとりを助けることは、みんなを救うこと。集めたばかりのそんな言葉を胸に、私はパリで新しい年を迎えようと思っています。

 

みなさん、どうぞよいお年をお迎えください。

 

車中より