Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Super bolide

グレーの季節の対処法

 

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いよいよやって来ました、パリお得意のグレーの季節。

今年はどう乗り切りましょうか。

 

毎年定番となっていた愛用のミリタリー風ブーツをとうとう履き潰したので、靴箱の奥に眠っていたヒールのあるショートブーツを引っ張り出してみた。エスコートのある日、すなわち誰かが運転してくれる車に乗る日用に買った靴。そんな靴があったことさえすっかり忘れていた。

普段はハイヒールを履かない私。こんな安定の悪い靴で一日中歩けるかしら?と思ったけれど、履いて出掛けてみると案外足も痛くならない。それどころか、踵が浮くせいでいつもより足取りが軽い。

 

ハイヒールは「履き物」ではなく「乗り物」の一種だと思う。

スポーツカーやベスパに乗るように、ヒールに「乗って」エンジンをかける。「歩く」のではなく、「ステップを踏む」。パリの石畳の上をコツコツと音を立てて。

そうだ、この冬はこのヒールでダンスするように街を歩こう!そう思ったらなんだか楽しくなってきた。気分を浮かせる一つの手立てとして、自分を高みに乗せればよいのだ。

 

茹だるような夏は、底の薄い平らな靴でペタンペタンと歩けばよい。

冷たく乾燥した冬は、ヒールの音をテンポよく響かせて軽快に闊歩しようではないか。

スニーカーは闊歩に向かない。ハイヒールほど闊歩に向く靴はない。

 

そう言えば、息子の通っていた中学校の教頭先生、マダム・テトロは美しくエレガントな女性で、長い髪をシニョンに結い、長身にワンピース姿で、いつも繊細な高いヒール付きの靴を履いていた。その足で5階建ての校舎を登ったり降りたりするものだから、感心して「足が痛くなりませんか?」と聞くと、「パ・デュ・トゥ!(全然!) 平らな靴より歩きやすいくらいよ!」と豪語していたっけ。その時は、殊更自分も試してみようとは思わなかったのだけれど。

 

お日様のない季節の到来。

いつも心に太陽を。