黄色いごはんのお話です。
台所でジャージャーと炒め物をしていると、食いしん坊の息子が覗きに来た。
今日のご飯はなぁに?
今日はチャーハンよ
フライパンで、サイの目に切ったズッキーニと赤いパプリカを炒めているところだった。そこに冷やご飯をパーッとあけたところで、息子の目が輝く。
うわぁ!白いごはんだぁ!!
そう、安上がりなもので、彼はどんな手の凝ったご馳走よりも、「白いご飯」が大好き。
「おいしいごはんを作っている時のママ」というのは、いつもより影響力がある。お腹が空いているなら、率先してテーブルの準備をするように と厳かに言い付けて、彼が素直に走り去ったところで、仕上げの塩とターメリックを振る。
鮮やかな黄色いチャーハンの出来上がり。
運ばれてきたものを見て、息子は素っ頓狂な声をあげる。
あれっ?!
どうして黄色くなっちゃったの?
よほど、「もう白いご飯ではなくなった」ことにガッカリした様子で、あからさまに肩を落とし、真面目顔で言う。
ぼく、こんなの食べたら、黄色くなっちゃう。。。
ママは思わず吹き出した。
あなたは黄色いものを食べたら黄色くなるのですか。
それじゃ、今、前菜に緑のサラダを食べたばっかりだから、もうすぐ緑になっちゃうね。
どこかの養殖の、エビだか、サーモンだったかが、赤い餌を食べさせて赤くするのだ と聞いた話を思い出す。
息子くん、あなたは何の動物ですか。実は養殖のエビでしたか。
どうりで、人間の女であるママには、あなたが理解できない時が度々ある訳だ! と合点がいく。
彼が食卓で目まぐるしく緑になったり黄色くなったりしているところを想像して、ケラケラ笑っていると、息子もつられて思わず吹き出した。
そういえば、そんなお話の絵本があったなと思う。かわいいオバケ達の晩餐会の話。
確か、サラダを食べれば緑に、穴あきチーズを食べれば穴だらけになって、最後のスペシャルカクテルを飲み干すと透明になってしまう、そんなような話だった。
子供の言うことは、面白くてかわいいな と思う。あと何年このあどけなさが続くかな?