Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Mais non, ce n’était pas un navet

史上最長のグレーブ(ストライキ)でメトロは今日も走っていない。赤いスニーカーの紐をキュッと締め、家から6キロの場所まで用事があって歩いたついでに、そのままUターンせずプティット・ポーズ( petite pause 一休み) に映画館に入った。

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お客の入りがイマイチな映画だと知ってはいたけれど、たまにこういう、パリが舞台の軽いフレンチ・ラブコメディーが観たくなる。息つく暇のないアクション映画や、片時も目が離せないサスペンス物と違い、鑑賞の途中で様々な思いが頭をよぎる。映画のストーリーと並行して、私的なストーリーが邪魔にならずに展開できる。個人的な解釈を挟んで、色んな教訓だって得られる。それはどんなストーリーや教訓かと言うと・・・、長くなるので、こちらはまた後日きっと別の機会に。

とにもかくにも、弄ぶ暇のある映画は、遊べる映画だ。ラブコメディーは退屈だと言って嫌う夫にしてみたら、 今日の映画は C'est un navet (こんな映画は「蕪」だ / 三級映画だ) と言うに違いないけれど。Un navet ? On va le cuisiner alors ! 

 

トウキョウに住んでいた頃は、未だ見ぬフランスの香りを嗅ぎたい時はエリック・ロメールなんかの古いコメディーものをたまに観たものだ。それはフランスのシネフィル(映画好き)が、日本人があまり観ないオズ(小津安二郎)の映画なんかをよく知っているのと感じがちょっと似ていそうだ。

ロメールの「パリのランデブー」という映画では、マルシェで買い物するパリジェンヌの赤いカーディガンがとても印象的だったけれど、今回の映画もやっぱり主人公の口元の真っ赤なルージュが印象に残った。グレーのパリに赤はとても効果的な差し色になるのだ。

冬のパリ旅行には、ぜひ赤いマフラーを。