Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

L’union fait la force

我が家にいつもの仲良し3人組が集まった。

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メンバーは、歩いて3分の所に住むキャロリーヌと、私の数少ない同郷人の友、ユキさん。この顔合わせでよく集まるようになってから、かれこれ7年経つけれど、三人三様のバランスが絶妙で、一緒にいてお互いにすこぶる居心地が良い。私が親愛なる母を突然亡くした時も、キャロリーヌが運命の男性と出会って平穏な日常を揺すぶられた時期も、ユキさんが仕事で図らずもバーンアウトしてしまった時も、3人集まって肩を叩き合い、率直な意見を交わし合い、励まし合ってきた。

 

フランスは、2ヶ月も続いた史上最長の公共交通機関のグレーブ(grève/ストライキ)がようやく終結したと思ったら、今度は毎日のように雨と暴風が続き、なんだかおかしな天候だ。地球温暖化の影響なのだろうか。世界規模の疫病の流行もあって、ここパリも社会全体に不安なムードが色濃く漂っている。一体、世の中はこのままどうなってしまうのだろう?ニュースや社会問題に疎い無頓着な私がそう感じるくらいだから、この暗雲は相当のことだ。

 

そんなご時世でも、我ら3人が集うひと時は心から楽しい。明るい高らかな笑いが絶えない。例え明るい話題ばかりでなくても、だ。3人集ると、箸が転がっても笑うお年頃の私達になる。だから、こんなご時世であっても、いや、こんなご時世だからこそ、なるべく頻繁に顔を合わせようと意見が一致する。懐を割って本音の話ができる貴重な友人達だ。

 

せっかく女同士で集うのだから、季節の水仙やミモザでも飾って部屋を明るくしたかったけれど、2人が来る約束の時間までにフローリストに駆け込む暇がなかった。バルコニーに無造作に茂っているローズマリーに紫色の小花が付いていた事をふと思い出し、枝をいくつか失敬して、これまた無造作にボールに活けてみた。手入れせずとも勝手に育ってくれるハーブというものは、まったく頼もしい。特にローズマリーやタイムは、驚くほど生命力が旺盛だ。一番乗りで到着したキャロリーヌが、さっそく「日本的でいいわね」と褒めてくれた。彼女が言うところの日本的とは、多分、生け花の事を指しているのだろう。生け花と比べるには、私のローズマリーはあまりにも無造作過ぎるので可笑しかった。でも、この植物のツンと清々しい青い香りは、世の中の鬱蒼とした邪気さえも追い払ってくれるような気がする。名付けて「お清め草」だ。

しばらくすると今度はユキさんが、オレンジの香り付けされたパティスリーと、私に貸すためのアガサクリスティを携えて到着した。3人でテーブルにつき、先日ボージュ広場近くの紅茶専門店で入手したアーモンドの香りのお茶を入れ、芯のところをくり抜き、干しぶどうを詰めてオーブンに放り込んでおいた焼き林檎を取り出してもてなす。

 

まさに、人は人に支えられて生きているのだと思う。この先もずっと、ずーっと、おばあちゃんになっても、こうして変わらず仲良し3人集まって、女の子会議を開いていきたいなと思う。