6月24日
今日は父の誕生日。
本当は今ごろフランスに居るはずだった父だけれど、件の騒動渦中で旅がキャンセルになってしまった。今年の誕生日は爽やかな初夏のフランスで、と思っていたのが、思惑が外れて結局は梅雨でしっとりの東京に居る。
昔は、人生計画を立てると言えば、自分の時間 (年齢) さえ気にしていればよかった。そのうち息子が生まれてからは、彼の時間 (年齢) を優先的に念頭に置いて物事を考えるようになった。そして今は、父の時間 (年齢) を視野に入れて計画を立てていこうと考えている。人は人に生かされているとはこの事だと思う。
気が付けばもう6年も前になるけれど、母が他界した時、夜、バスに乗り込む私を見送りがてら、閉まろうとするドアの隙間から、従姉妹のミキちゃんが真摯な眼差しで滑り込ませた言葉が今でも耳に残っている。
「みほちゃん、お父さんを大事にね」
そうだ、私には父が生きてくれて居るのだとハッとした。去った人への想いで胸が一杯になっていたけれど、生きている人をこそ大事にしなくては。
ところが、そうは言っても、娘にとって男親を大事にするのは、女親の場合と同じようにはいかない。息子が女親を大切にしようとするのも、多分同じようにちょっと複雑なんだろうけれど。
敢えて言えば、私には父が元気でいてくれるうちに叶えたい夢がある。それを叶えたら、きっと父が一番喜んでくれるだろう。そんな日が来たら、ようやく親孝行になるだろうか。
それまでまだ当分時間がかかりそうなので、父上、どうぞ今後もお元気で、母上の分までうんと長生きしてくださらなくては困ります。