Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

L’éloge de la jupe

夏日の今日は久々に jupe (ジュップ / スカート) を履いてみた。

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私にとってスカートは、

女性の履かんスカートなるものを

我も着てみむとて 履くなり

という感じだ。いつの頃からか、すっかり縁遠いものの一つとなっている。

料理とお洒落は少し似ている。どちらも慣れが大切。しばらく遠ざかってしまうと、感覚を取り戻すのに時間を要する。習慣にしてしまったほうが楽なのだ。

 

今でも覚えている。息子が幼稚園生の頃、珍しく私がスカートを履いているのを見て、彼は目を白黒させながらすっとんきょうな声を上げた。「ママが princesse になっちゃったよ!」語彙の少ない幼い息子がプリンセスと形容したのは、別にお姫様のことではなく、いわゆる「おんなのひと」という意味なのだ。そう言えば、園の女の子達が憧れるディズニーのプリンセスなどは、みんなこぞって長いスカートを履いている。なっちゃった!と叫んだ息子の語尾には、「一体どうしたの?ママ」というニュアンスが含まれていて可笑しかった。ママは女の人なのですぞ。

 

その後、2年くらい前の冬、アパルトマンでお隣さんの友人イザベルと時間の合間を縫って一緒に映画を観に行った時のこと。慌ただしく映画館に着き、シートに着席する前にコートを脱いだ途端、彼女が思わず小さく叫んだ。Ah ! Tu as mis une joupe ! (スカート履いてきたのね!)

私にしては珍しい事なので、すぐ彼女の目に留まったのだ。慣れない格好をしている事に注目されて、なんだか少し気恥ずかしかった。そう言うイザベルも、私と同じく日々パンツルックの忙しい人なのだ。

私達にとって、スカートを履くのはまるで一つのイベントのようになっている。スカートの日は、成り振り構わず駆け回ったりせず、そのヒラヒラな裾と同じように、気持ちに幾分軽さと、ふんわりした余裕がなければならない。そんな日が、ママンになった私たちの一年に一体何日存在するだろう!両手で数えて指が余るくらいだ。