Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Les repas normands ?

旅の余韻 その1

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普通、ノルマンディーの海辺と言ったら、食事は海の幸を選ぶのが正解。ずっと以前に足を運んだ時は、私も牡蠣を注文したものだ。ところが、今回は少し勝手が違う。私のプチ・プランスは魚介類をお召し上がりにならないのだ。

 

どちらにしても、牡蠣をはじめとする貝類が美味しいのはスペルに R の含まれる月と聞いているし (7月は juillet で R は付かない)、魚介を売りとするレストランはいかにも観光客目当てといった店構えが多い。今回の息子との旅では趣向を変えて、果物やらパンやらを適当に見繕い、主に砂浜でピクニックと決め込んだ。夏らしいそんなスタイルが楽しかった。

 

それ以外には、一軒だけ、3日間まいにち通った店がある。気軽なイタリアノリバネの惣菜屋さんだ。ショーケースには様々なグリル野菜がずらりと並んで、食欲をそそった。カリフラワーをゴロリと丸ごと、ざく切りのウイキョウ、葉っぱ付きのスマートなにんじん、縦にスライスしたズッキーニ、三日月型のカボチャ、飴色の玉ねぎ、ちょっと焦げ目の付いたパプリカ。香りのよいスパイスもたっぷり振りかけてある。

店員の青年は人が良く、極めてサンパティック。そしてどことなくアジアチックな顔立ちだ。レバノン人なのかと訊ねると、Non non、ベトナム人とフランス人のハーフだと返ってきた。この国では割合いとよく見かける組み合わせのユーラシア人だ。夏休みのアルバイトで働いているのだろう。

息子を指して「この子はフランコジャポネ!」と教えると、鮮やかな笑顔で「おお!Manga の国だね」と嬉しそうに息子に話しかけた。そんなこんなですっかり親しくなり、最後の日は、注文していないフムス (ひよこ豆のペースト) と、サクサクと絶妙な食感のスティックパンを、もう1人のアルバイトの女の子の目から隠すようにこっそり特別サービスしてくれた。きっとママンがベトナム人なんだろうな。それで、私と息子に親しみを覚えたに違いない。

 

そんな訳で、自慢ではないけれど、ノルマンディーの郷土料理と呼べそうなものは見事に一度も口にしなかった。その代わりに、感動的に美味しいエキゾチックなグリルディッシュを、楽しく、たらふく頂いた。

Encore merci ! ごちそうさまでした!