Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

La chèvre de Monsieur Seguin

待ち合わせ場所に先に着いたキャロリーヌは、ブーケを抱えて立っていた。

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庭で摘んだの!と、それを差し出す。あなたたち2人に、と。

お決まりの仲良し3人で夜の集会。私とユキさんは牧歌的な可愛らしいブーケのお礼を言い、しばらくそれを愛で、それから3人でいつものように、いつもの近所のカフェの丸テーブルを囲んで腰を落ち着かせた。その後は、いつものように本音の語り合い。時々こうやって顔を合わせるこの集会が、今までどんなにお互いの支えになってきたことか。私達が出会って、このメンバーが自然に結成(?)されてから7年。びっくりするほど沢山の事が変わった。世の中も、私達自身も。

 

キャロリーヌが「セガン氏の山羊」の話をしてくれた。それはイソップ物語のようなもので、フランス人なら誰でも知っているアルフォンス・ドデの寓話だ。それはこんな話だ。山に住むセガン氏はヤギを7匹飼っていた。ところがそのうち6匹はすべて山の獰猛な狼に食べられてしまう。セガン氏は最後に残った大事な一匹を小屋に閉じ込めておく。狼から守るため。けれどもヤギは山の美味しい草を喰んでみたい。山の新鮮な空気が吸いたい。山の向こうの景色を一目見てみたい。ある日セガン氏のヤギは小屋から逃げ出す。果たして、山の草は美味しく、空気は清々しい。そしてなんと言っても自由である。もうセガン氏の小屋に戻るつもりはない。そして、この最後の一匹のヤギは、最後にはやはり、山の狼に喰われてしまうのだ。

どんな教訓をこのお話から引き出すかは、その人次第。

 

キャロリーヌがこの寓話を話題にしたのは、彼女のパートナーに「君はまるでセガン氏のヤギだね」と言われたからだ。彼女は、長年連れ添ったけれどしっくり来なかったパートナー氏と別れ、全くタイプの違う新しい人の元に発とうとしている。退屈だけれど安全なセガン氏の小屋に戻ろうとしても、後の祭りで戻れなくなるよ という忠告なのだろうか?と話した。彼女はしかし、山の危険を承知の上で、その自由を選ぶ覚悟がすっかりできている。

 

一方、1年ほど前に惨憺たる状況で仕事を失ったユキさんは、このご時世でありながら強運にも新しいポストを見つけた。運も才能のうち。実力のある人だ。8月からまたワーキングマザーとなる。ママンがママンで終わらず経済力をつけておくことは、大事なことだと思う。そして彼女もまた、今、一つの大きな決意を固めようとしている。

 

2020年は特別な年だ。何でも起こり得るのかもしれない。きっとそういう特別な時期があるのだ。それをどう受け止めるか?どう乗り越えよう?

夢を持ち続けよう。口にすると気抜けするような単純な言葉だけれど、きっとそれしかないよね と、3人で話した。

3人寄れば文殊の知恵?