Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

L’éloge de l’automne

友人マリーンに、郊外の森にみんなでシャテンヌ拾い (châtaine / 「栗」拾い) に行かないかと誘われた。

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枯れ葉の上をそぞろ歩いてお喋りしようという訳だ。結局その日は忙しくて行けなかったけれど、秋らしくて素敵な提案だと思った。

 

ヴァカンスを過去形にしてしまう秋という季節は、パリの人たちの苦手なシーズンかも知れないけれど、実は私の好きな季節だ。

冬生まれだから、もともと性格が内向的なのかも知れない。エネルギーが元気に表に飛び出す春や夏も楽しいけれど、その力が暖かい土の中に、人知れず、深く深く、核心に向かっているのを感じるのもわくわくする。

暖かい季節は、地上を美しく飾る季節。空気の季節。寒い季節は、地中を豊かにする季節。土の季節。どちらも同じエネルギーが働いている。上に行ったり、下に行ったり、方向性が変わるだけだ。台所で言うならば、寒い季節はもちろんお鍋の季節。蓋をして火にかけて、ぐつぐつと煮込むのだ。部屋中にいい匂いが立ち込めて、中身がとても気になるけれど、何度も蓋を持ち上げてジャマをしてはいけない。仕上がりは後のお楽しみ。それまでそっとしておくのだ。忘れたふりをして、できるだけ放っておくのだ。覗きたくなる気持ちを抑え、じっと楽しみに待つ。そう、寒い季節は待つ時間。待ち時間のお楽しみ。せっかちな人は秋や冬を好まないだろう。

 

昨日、息子の上着のポケットから、道で拾ったマロンがころりとひとつ出てきた。あら。

セーターを羽織り、暖かい飲みものを手に、今年もまた読書が進む季節だ。