Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

À la fin d’année

今年も残すところあと2日。


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年と年の境目の感覚が日本に比べると薄いフランスだけれど、今年は例外的に、この一年にしっかりサヨナラをして数字だけでも新たな年を迎えたい、という独特の年末ムードが漂っている。それくらい特別な年だった。

 

ヨーロッパの時間は巻物の時間。石の建物のように、ひき続きの長い時間。日本の時間は、本のページをめくるように毎年改まる時間。もうすぐ一年が終わってしまう、もうすぐ新しい年が始まってしまう という、あの切迫感が私には懐かしいくらいだけれど、そんな日本の年末の慌ただしさが苦手だと言っていた東京の友は、今ごろどうしているのかしら。大掃除の後に年越し蕎麦を啜って、おせち料理も怠らず、今年も忙しくしているのかな。今年はフランスの人達も、可能であるならば「ページをめくるような時間」を進んで採用するに違いないけれど。

 

夜のパリの街は、恒例の年末のイルミネーションがあちらこちらで光っている。車を走らせていると、道路の上を飾る、街路樹と街路樹の間に吊るされた Joueuse année (よい年を) のネオンのメッセージが、模様化した外套文句としてではなく、今年はまるで切実な願掛けのように目に映る。言霊がその力を発揮してくれればいいけれど。そうだ、街中に明るい言葉をたくさん飾って、陰気な勢力なんて追い出してしまえ。

 

それにしても、大人になると時間が早く過ぎるのはどうしてなんだろう。ダラダラと引き続いたロックダウンや外出制限。なかなか過ぎない時間に散々ため息をついた筈なのに、こうして振り返ってみると驚くほどあっという間だから、時間というのはまったく不思議だ。そうやって、一年がまた駆け足で過ぎ去ろうとしている。