Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Une lettre ailée

久しぶりに手紙を書いた。

 

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滅多に会えない日本の友人に。伝える事があったので、いつものようにメールで済ませる代わりにメッセージカードにしたためてみた。

紙の上に文字をきちんと書くのは、キーボードをカチャカチャ打つよりよっぽど気を使う。2文字ほど間違えそうになり、なんとか書き足す形で誤魔化した。

昔はお手紙、いっぱい書いたんだけれどな。気が付けばまともに筆を持たなくなってから久しい。達筆な人、字の美しい人が羨ましい。

 

そういえば、ドイツのグーテンベルクによって印刷技術がもたらされるまで、ヨーロッパの書物といえば主に僧侶達が書き写していたようだ。装飾画と飾り文字による世にも雅な聖典を目にしたことがある。

イスラム世界では、コーランを書き写すカリグラファー達には決してエラーが許されないと聞いた。とある博物館で、見る音楽と呼びたくなるような楽譜のような流麗なカリグラフィーにため息を漏らした経験がある。

日本にも、惚れ惚れするほど端正な文字の並んだ美しい写経が存在する。書くという行為はそれ自体に神聖な要素があって、どこか祈りに似ているのだろうなと思う。それらの書を間違いなく記すのは、最大の集中力を必要とし、相当な緊張を伴う行為に違いない。たった一枚のメッセージカードにさえ書き間違いを散りばめてしまう私は、彼らの仕事に惹かれ、つくづく感心してしまう。

 

ところで、噂されていたフランスの3度目のロックダウンは結局回避された。18時以降の外出制限が維持される以外は、新たにデパートやショッピングセンターといった大規模な商店が1ヶ月閉鎖となった。本来ならばソルド(セール)真っ只中だというのに。

カフェやレストラン、映画館や劇場は相変わらずの閉鎖。それに加えて、先週末からヨーロッパ圏以外への出入りができなくなった。国境が閉ざされたに等しい。現在の状況を考えると極めて妥当な処置だ。今の時期に日本に行く予定はどのみちなかったけれど、閉鎖と聞くと少なからず複雑な気分になる。一体いつまで?それが誰にも分からないからだ。

 

それでも手紙はちゃんと海を渡る。空を飛ぶ。ウクライナを超え、ロシアを超え、広大な大陸をひと跨ぎして日本に届く。ヴァーチャルの時代にあって、紙に託したメッセージがはるばる届くのは逆に新鮮だ。

 

ノエルから40日目に当たる2月2日、日本の節分は、フランスではクレープをいただくのが慣例だ。麦の国の人達は、そうやって新しい年の繁栄を願うのだ。我が家では、もうすぐ始まる2週間の2月休みに息子と一緒に作る約束となっている。日本は買い物に出るとどこも「恵方巻きだらけ」だと父が言っていた。えほうまき?いつからそんな習慣が定着したのだろう?私が子供の頃の節分にはあまり見かけなかった。人の世は刻々と変化するものだなと思った。久々に日本に帰省する日には、驚く事がたくさん待っているだろうか。