Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Pensée pour mon pays

世界は広くて小さい

 

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なにせ、地球の裏側の情報が瞬時に耳に入るのだから。

今日、日本の東北でまた地震があったと聞いた。

 

ちょうど10年前、Fukushima の震災があった時、フランスの人達によくこう聞かれた。

日本人は地震や自然災害の多い国によく住んでいられるね。どうして逃げないの?別の場所に移り住もうとは思わないの?

自分たちが生まれ育った土地には、どうしたってただならない情がある。よそに同じ言語を話す国があるでなし。似たような文化の国があるでもなし。日本はあの場所だけにしか存在しない唯一無二の国だから、避難すると言ってもどこに行けばよいのやら。そう説明しながら切なくなってきて、母国の愛する人達のことが心配で泣きたい気分になったものだ。それでも、普段の日本人の実際の日常は、世界のメディアがこぞって報道するほど日々脅かされている訳ではないのだ と辛うじて付け加えた。そうであって欲しいと願いながら。

 

息子の教材などを広げると、日本の紹介の導入にはまず「自然災害が多い国」と載っている。他国にとってはそれが日本の大きな特徴の一つなのだ。例えば Tsunami という言葉は made in Japan のボキャブラリーとしてフランスでもそのまま使用されている。自分が日本に暮らしていた時にはそれほど意識していなかったけれど、そう言われて見れば確かに自然災害は多いに違いない。けれどもそれはいわゆる比較論であって、そんな特徴が日本の第一印象にされてはなんだか不本意だなと思ったりもした。もっとも、最近ではすっかり自他ともに認める自然災害の国になってしまっている気もするけれど。

 

10年前の震災の時、私の両親も併せて、そこが自分の国だから仕方がないというスタンスの反応が多かった。するとフランスの人達はこぞって「サムライ精神だね」と、半ば感心し、半ば呆れて言うのだった。一度外側に出てから見ると、確かに、日本人という民族は日本という小さな船に乗って大海原に浮かんでいるように見える。心許ない小舟に命を託し、運命を共にしようと誓った一丸のサムライ族のように見える。

 

パリから義理の母の住む南仏に向かうTGVの車窓を眺めたりすると、日本に比べてフランスは驚くほど平地が多く、スペースが有り余っている印象がある。

いつかアメリカ人の友人ジャネットが言っていた。周りに数多くの国際結婚カップルを知れど、アメリカ人と日本人という組み合わせよりも、フランス人と日本人のカップルの方が遥かにウマが合うケースが多い。きっと何かしら共通する部分があるのね、と。ジャネット本人はアジア系アメリカ人で、ご主人はベルギー人。彼らが子供達をフレンチスクールに通わせていた時に知り合い、私たちは友達になった。日本が大好きな夫婦で、何回か旅行で来日の経験もある。仕事の都合で色々な国に住んでいたことも手伝って、異文化の融合についてはよく事情を知っている彼女なのだ。

そんなジャネットが言うのだから間違いない。確かに日本とフランスはかけ離れていても、その美意識や、繊細な職人意識や、舌が肥えているところなど、不思議によく通じ合う部分があると思う。フランスに憧れる日本人が多いのと並行して、ジャポン好きなフランス人もとても多い。両国は幸せな両想いなのだ。

何を言いたいのかというと、今後万が一日本に何か起ったら、フランスの真ん中に有り余っている土地に日本人を移住させてはくれないかしら?と勝手に想像したりするのだ。フランスの日本村。きっと後悔はさせないと思うのだけれど。