メメントモリ
今年も、今朝は晴天。
昼過ぎから曇り。夕方にわか雨。
この世を去った人の魂は一体どこへ行くのだろう。
すっかり消えてしまうのだろうか。
その答えは、生きているうちはどうしたって知り得ない。
よくできたなぞなぞなのだ。
とうとう答えが分かった時には、それを伝える術がない。
体と共に言葉は取り上げられてしまうから。
ある日ふと気が付いた。
煙 湯気 音 香り 声 音楽 そして想い
それらは、形をなくした人たちにも届く。形を留めることができないもの同士、同じ次元に存在するから。きっと届く。
永遠の別れはとても悲しいけれど、不幸ではない。
母は一切のものからすっかり自由になったのだ。そして私も、いつかは手を振って去る番が来るのだ。それを意識した時こそ一番「生きている」のだろう。
今年も、母の命日。
東京の父と少し話す。
お茶を淹れ、香を焚き、音楽をかける。
拡散して風になり、花になり、遠くに行ってしまったけれど、離れて暮らしていた時よりもずっと近くにいる母に。
あの日に比べて、息子はだいぶ大きくなった。
春に生まれ、春を待たずして去った母を想いながら、今年も春を待つ。どうか父のことをこれからも見守り続けてくださいと、空に祈りながら。