薔薇もいよいよフィナーレ。
近所のキャロリーヌの家に向かう途中、通りかかったアパルトマンの庭に真っ赤な薔薇が咲いていた。これ以上赤いものはあり得ないようなヴィヴィッドな赤。私よりも背が高い長身の麗人。朝の光を受けて、誇り高くつくづく美しい。
そう言えば、今年の5月は、毎年恒例となっているレイレローズのバラ園に行かなかった。忙しくしているうちにもう6月も半ば。
毎日よく晴れてすっかり夏日のこの頃だ。夫にそう言うと、「違う、まだ夏ではない」との返事。夏というものは、毎年ピッタリ6月21日にやって来るのだそうだ。夏至の前はいくら暑くても夏ではない。夏とは呼べない。これは夫に限らず、過去に別の人にも言われた事がある。
フランス人は約束に平気で遅れて来るくせに、フランスの季節ときたら、律儀にカレンダーを守らせられるようだ。ひょんなところでお堅いお国柄が面白い。
そうですか。まだ夏ではないのですか。それなら、もう暫く薔薇の季節を楽しませてもらいましょうか。
