Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Après la pluie, encore la pluie ?

久々の記録

 

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今日は木曜日。

月曜から、マスク着用の義務が解かれたついでに、衛生(ワクチン)パスポートの適用も「一時停止」となった。ユッピー!

 

喜び勇んで、改装されたばかりのホテル Lutetia の洒落たラウンジカフェで、友人ソニアとエスプレッソで乾杯と決め込むつもりでいたのに、やれ雨漏りしていた天井の修復工事だ、その前後の大掃除だ、息子の学校行事だ、面倒な行政手続きだのが立て続いて、普段にも増して右往左往していた。日中はもちろん、夜だって出かける時間なんてこれっぽっちもない。砂時計の、ほんの砂一粒分だって自分の時間がない。

 

忙しいついでに色々な事が停滞して捗らず、しばらくスランプ状態だった。時間はもちろん、珍しく気力まで見当たらないようなくぐもった時期。苦手な2月のお日様不足が影響したかも知れない。現在は、やっとそれをひと超えして、再び視界が開けた気分でいる。

 

なんてったって人生にはウェーヴがあるのだ。こちらの意思に関わらず。

トンネルをひと潜りした後、なにはともあれ、やりたい事はできるだけ欲張って「すべて」やってみるべし と思うに至っている。元気復活。春の活力。

 

火曜には、居間の天井に空いていた大きな穴がようやく塞がった。めでたし。なんと、3年越しの解決。

 

施工に当たったムッシューはアルジェリア系のフランス人で、一見、何人と言って良いのか判別の付き兼ねる顔立ちをしていた。純粋なヨーロッパ人ではなし、アジアチックでもなし、アフリカ系にも見えず、中東とも言い難い。いわゆる典型的なマグレブ系とも一味違う。敢えて言えば、地中海人風。

 

そんなムッシューも、私のことを「何人だろう?」と思っていたらしく、日本人だと告げると、驚いたような、いないような、微妙な反応を示した。目は切長でなし、色白でもなし、髪も直毛ではなく、無国籍風なのはむしろ私の方なのかも知れない。

最近、面白いことに、鏡の中に映る自分のアジアチックな姿に軽い違和感を覚えることがある。「常に目に映る周囲のもの」に感化されているせいだろうか?日本語も忘れ始めたりして、ますます何人だかよくわからない人になっていくのだろうか。

 

それはさておき、ムッシューは、先週の金曜の昼時には「モスケ(イスラム寺院)にお祈りに行かなくちゃ」と、仕事を中断していそいそと出かけて行った。なんでも金曜のお祈りは特別だそうで、寺院に出向かなければならないらしい。「まだ金曜だけでよかったですね。これが毎日だったら大変でしたね!」と言うと苦笑する。週一回でも面倒だと感じる私と違って、ぜんぜん不便に思っていない風だ。

 

彼が仕上げのペンキを塗っている間、隣接する台所で家事をしながらラジオを聞いていると、移民問題やイスラムに関する手厳しいトークが流れた。4月の大統領選に寄せての討論。果たしてどんな思いで彼の耳に届くのか、音量を下げた方が良いものか、ちょっぴり微妙な心境だった。

 

兎にも角にも、居間をすっぽりビニールシートで覆い、数日間に及ぶ彼の丁寧な仕事のお陰で、天井はすっかり元に戻った。

フランスという国は、下請け仕事を引き受ける、生粋のフランス人以外の影役者が実に大勢存在する国だ。

 

 

昨日の水曜は、息子を歯列矯正のドクターのところに連れて行った帰りにメトロに乗っていると、友人マリーンからSMSが入った。「日本でさっき大地震があったそうだけれど、ファミリーは大丈夫?」

寝耳に水。慌ててネットで検索するけれど、コネクションが悪くて情報が得られない。夜中の東京の父にコールをしてみても、当然のように返事はない。心配だ。

マリーンに情報提供を頼むと、瞬時に詳細が届いた。揺れはあったものの、幸いにも東京は大きな被害はなかった様子。ホッと胸を撫で下ろす。マリーン速報様さま。頼りになるのはやっぱり友だ。

 

横に座っていた息子に地震のことを告げると、心配性な彼が珍しく、「じいじは大丈夫だよ」とハッキリ断言する。どうやら、父の身に大変なことが起こったような虫の知らせは受けていない ということのようだ。子供のそんな不可思議なところは信用したいと思う。それが安心するような知らせであれば尚更のこと。

 

 

そして、今日の木曜は朝から当の息子が熱を出し、学校を休ませた。こんなご時世での発熱で心配したけれど、「オレンジジュースを絞ってあげようか?」と聞くと、「オレンジ以外は何も入れないで!」とちゃっかり念を押すあたりなど、しっかり元気だ。栄養を気にするママンが、ついでにこっそりニンジンジュースを混ぜたりするのを知っているのだ。

一日で回復したとても、明日は学校に戻していいものやら。学校が送ってきた政府からの勧告を眺めるけれど、度々変わるウィルス対策の質面倒臭いことと言ったら!ケースバイケースでの自宅待機の日数だの、証明書が要るだのいらないだの、対応がクルクル変わる。やれやれだ。

 

とりあえず、明日の朝はキットを使ってコロナのセルフチェックを行う予定。例え結果がネガティヴでも、この際ゆっくり休ませてしまおうかなと思っている。ベッドでマンガ三昧の一日になりそうだ。サイドテーブルに絞りたてのオレンジジュースを載せて。