両腕をあげてピースする、おめでたい姿のピンクのラングスティーヌ。
最近仕事がつまらないとかで、夫が週末に時々料理をするようになった。それも、私が日々の台所では作らないような、思い切ったタイプの料理だ。
得意のインターネットでレシピをあれこれ検索し、朝から車を走らせて遠くのイペーマルシェ(スーパーマーケットより更に大きなマーケット)まで足を運び、近所では手に入らないエキゾチックな食材を買い物袋一杯買って帰ってくる。
常に世界情勢が耳に(あるいは目に)入っていなければ落ち着かない性質なので、台所にラジオを据えてニュースを大音量で流し、材料の下ごしらえしてはタバコを吸いにベランダに出たり、テレビの前に場所を移して野菜を切っては、パソコンに戻ってメールをチェックしたりして、時間の制約もなく一日行ったり来たりして悠長に料理する。
私が大学受験の時期に、いつになくピアノが弾きたくなって、それよりずっと以前に習うのをやめて以来指一本触れていなかったのに、その頃だけは毎日のように弾いていたのを思い出す。
当時の私は、何か全然別のこと をする必要があったのだ。今の夫にとっての料理も、私のあの頃のピアノと同じことなのだろう。
そのおかげで、ひょんなご馳走にありついているこの頃。